“ワクチン接種率とオミクロン感染者数が日本よりも高い韓国” を無視して『ハイブリッド免疫』にすがる忽那賢志氏

  “高いワクチン接種率で感染対策を継続中の日本” が新型コロナの新規感染者数で世界最悪を記録したことに対し、忽那賢志氏は「ハイブリッド免疫が理由」との弁明を行っています。

  しかし、この主張は反証を容易に確認できるため無意味なものです。

  要するに、日本の新型コロナ感染状況 “だけ” を説明する詭弁なのです。「日本よりも新型コロナワクチン接種率が高く、オミクロン株(BA.1)で世界最悪の感染状況に見舞われた韓国」が反証の1つです。

  専門家として持て囃されている立場にいる人物が保身のために流すデマには厳しい批判を浴びせる必要があるはずです。


『ハイブリッド免疫』を突如として主張し始めた専門家

  『ハイブリッド免疫』との考え方を世に送り出したのは忽那賢志氏などの専門家です。その背景は「『世界最高水準の感染対策』を継続中の日本の新型コロナ感染状況が世界最悪になったから」です。

  “日本よりも感染対策が緩い欧米諸国” の新型コロナ感染状況は「日本よりも軽微」なのです。感染対策に疑問が呈されることは不可避ですし、以下のロジックで保身に走っているのです。

  • オミクロン株(BA.1)の出現で新型コロナワクチンによる感染予防効果が減少
    • BA.5 へのワクチンの感染予防効果はオミクロン従来株(BA.1)よりも低い
  • 欧米(=イギリス)では「ワクチン接種者がコロナに感染」や「コロナ陽性者のワクチン接種」による『ハイブリッド免疫』で感染拡大を免れている

  忽那氏が『ハイブリッド免疫』の根拠として例示したイギリスでは2022年2月にコロナ対策に終止符が打たれたため全数把握や積極的な PCR 検査は行われていません。ですから、イギリスを例に持ち出すのは不適切でしょう。

  この指摘がない時点で忽那氏の主張内容を題材に議論を行うことは無駄です。


韓国での新型コロナ感染状況を『ハイブリッド免疫』で説明できるのか

  「『ハイブリッド免疫』によって BA.5 による感染拡大が防がれている」との主張が無理筋なのは韓国での新型コロナの感染状況が反証になっているからです。

  韓国では2022年の初頭に世界最悪の新型コロナ感染状況を記録。その韓国での新型コロナワクチンの2回目接種率は 87%。3回目接種率は 65% と日本の 63.9% を上回っています。

  つまり、『ハイブリッド免疫』が機能しているのであれば、2022年夏の感染状況が日本よりも韓国の方が深刻になることは起こり得ないのです。しかし、実際には韓国の人口あたりの新規陽性者の方が日本よりも多いのです。

  この事実を認識できてない専門家は無能と言わざるを得ないでしょう。


そもそも新型コロナワクチン接種率が低いアフリカ諸国は BA.5 とは無縁

  忽那氏など『ハイブリッド免疫』に縋る人々は「ワクチン接種と感染がポイント」と主張していますが、そのロジックでは “ワクチン接種率の低いアフリカ諸国” での症例数を説明できません。

  なぜなら、南アフリカなどアフリカ諸国では新型コロナ感染拡大とは今夏は無縁という状況だからです。

  アフリカでは新型コロナワクチンの接種率が低い上、新型コロナワクチンも必要とされていません。貧困問題やマラリアの方が深刻なのですから当然の結果と言えるでしょう。

  『ハイブリッド免疫』が事実であるなら、新型コロナはアフリカ諸国で猛威を振るっているはずです。しかし、実際は「対処する必要のない疾病」にすぎない症例数に留まっているのです。「結核の方が深刻」と言うことも可能でしょう。



  忽那氏などが持ち出した『ハイブリッド免疫』は欧米諸国での新型コロナの陽性者数を都合良く切り取った自己正当化に過ぎません。

  「ワクチン接種率と既存感染者率が日本よりも高い韓国」と「ワクチン接種率と既存感染者率が日本よりも低いアフリカ諸国」の存在を無視した『ご都合理論』だからです。

  「『ハイブリッド免疫』は科学的根拠と矛盾する理論なのでは?」との指摘はメディアからも行われる必要があるはずです。