後藤厚労大臣が「特措法上の強力な措置を残すべき」と主張し、新型コロナの法的分類変更を記者会見で否定

  7月29日に行われた記者会見後藤茂之・厚労大臣が「伝家の宝刀とも言うべき特措法上に基づく強力な措置の可能性を残しておくべき」と主張し、新型コロナの分類見直しを否定したとテレビ朝日を始めとするマスコミ各社が報じています。

  BA.5 による “最新の” 感染状況が反映された見解ではありませんし、感染症法で許されているのは『最小限度の措置』です。

  感染対策の継続を求めるのは「対策によって補助金を得る医療業界」です。“季節性インフルエンザ(のピーク時)を下回る患者数・重症化率・死亡率の新型コロナ” に対し、『1類以上の感染対策』を継続することは人災と言わざるを得ないでしょう。


後藤厚労大臣の記者会見での発言

  7月29日の記者会見で「新型コロナの感染法上の扱い」を問われた後藤大臣の回答(の概要)は以下のとおりです。

  • 現時点で新型コロナの致死率は季節性インフルエンザより高い
  • 新型コロナの感染力は極めて強く、インフルエンザより感染の規模が非常に大きくなる可能性がある
    • 医療が逼迫して必要な人が医療を受けれない恐れ
    • 特措法に基づく強力な感染拡大防止対策が採れるのは必要な措置
  • 詳しい情報等が客観的に積み上がってくれば柔軟に議論を続ける
  • “新感染症等” でないと『緊急の強力な感染拡大防止策』は採れない

  “新型コロナの感染症法における分類見直しの抵抗勢力” が喝采を送る主張を後藤厚労大臣がしているのです。特措法に記された『必要最低限の措置』を平気で無視していますし、重症化率への言及もありません。

  統計を偽装して新型コロナワクチンの接種効果を宣伝するような省庁が『国民にとってプラスとなる政策』を提起することは期待できないでしょう。『医療業界や官僚の自尊心を満たす政策』が最優先であると認識する必要があるはずです。


可能性で規制を導入・継続し、緩和には『客観的な詳細情報』を求める厚労省

  それでは後藤厚労大臣の発言に含まれる問題点を列挙していくことにしましょう。1つ目は『新型インフルエンザ等対策特措法』に違反している点です。特措法第5条で次のように記されているからです。

(基本的人権の尊重)
第五条
 国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。

  法律では「国民の自由と権利に制限が加えられる時であっても制限は必要最小限でなければならない」と明記されているのです。

  しかし、「感染拡大で医療が逼迫する “可能性” があるから『現状の行動制限』は継続する」という厚労省や専門家が採っている現状の対策方針は必要最小限ではありません

  その一方で「『法律に反する現状の過剰対策』を緩和するには客観的な根拠が積み重なった状態での議論が必要」との立場なのです。

  法律と真逆の対応を行政がしているにも関わらず、政府を監視すると息巻く左派系のメディアや活動家が無反応なのは深刻と言わざるを得ないでしょう。


新型コロナ(= BA.5)の致死率は季節性インフルエンザよりも低い

  後藤厚労大臣は「新型コロナの致死率は季節性インフルよりも高い」と主張していますが、これは事実と異なります。厚労省が発表しているデータが根拠です。

表:新型コロナ陽性者と死者数
新型コロナ インフル
60代70代80歳超 60歳超
6/15-21 4662
(9)
3406
(28)
3104
(108)
x
6/22-28 5456
(8)
3677
(18)
3220
(77)
6/29-7/5 9104
(0)
5822
(14)
4833
(69)
7/6-12 19170
(1)
12904
(0)
10092
(16)
7/13-19 33853
(10)
23465
(27)
18501
(84)
7/20-26 71045
(14)
47836
(27)
38483
(199)
合計 143290
(42)
97110
(129)
78233
(553)
死亡率 0.029%0.133%0.707% 0.55%
0.227%

  BA.5 による新型コロナの感染拡大が発生した2022年6月15日から7月26日までに記録された『新規陽性者における死者数の割合』から求められる60歳以上の致死率は 0.23%

  厚労省のアドバイザリーボードに報告(PDF)された季節性インフルエンザの致死率は60歳以上で 0.55% です。したがって、新型コロナを「1類以上の扱い」に据え置く有力な根拠の1つが失われたと言えるでしょう。


季節性インフルは「1週間に患者数222万人」の記録を保持

  次に「新型コロナの感染規模がインフルエンザを超える可能性がある」との主張ですが、これも事実と異なります。

  季節性インフルエンザは「年間に1000万人が罹患」すると首相官邸がホームページで言及しています。また、2019年2月には1週間で222万人の患者が発生したと科学技術機構が厚労省の発表を基に報じているのです。

  これに対し、新型コロナの新規陽性者数は7月23日から29日までの1週間で136万人です。スクリーニング検査で水増しした『陽性者数』が『季節性インフル』の患者数よりも低い事実を踏まえた対応が必要なのは言うまでもないでしょう。

  しかも『新型コロナ(= BA.5)による重症化率』はいずれの年齢層においても『季節性インフルによる重症化率』よりも低いのです。(重症化率は大阪府の発表値より算出)

  “季節性インフルエンザよりも患者数が少なく重症化率の低い疾病” で医療崩壊に見舞われるのであれば、その原因が『対策』にあることは火を見るよりも明らかです。

  『行動制限を伴う現行の新型コロナ対策』を止められてしまうと医療機関は補助金による臨時収入を喪失しますし、厚労省や専門家は「対策を講じなくても結果に有意差はない」との現実に直面すると責任問題に発展します。

  だから厚労省やアドバイスをしている感染症の専門家は「感染対策を続けるべき」と主張しているのです。



  新型コロナの疾病として脅威は季節性インフルエンザを下回っていることが “すでに” データとして示されているのです。日本の社会や経済を痛み付けているのは『コロナ禍』ではなく『コロナ対策禍』なのです。

  「コロナ補助金で潤っている医療業界」や「医療業界に顔が効く厚生官僚」がコロナ煽りを止めることはないでしょう。コロナ破綻が起きるまで突き進んだとしても驚くことではないと思われます。