「BA.5 の感染者や濃厚接触者で社会活動に影響が生じているので『接触削減』を」と厚労省アドバイザリーボードが要求

  7月27日に行われた厚労省の新型コロナ感染対策アドバイザリーボードで「感染者や濃厚接触者の急増で社会活動に影響が生じているので『感染しない・させない』の原則に沿った対策を徹底すべき」と提言されたと NHK が報じています。

  これも無責任な提言です。濃厚接触の概念を作ったのはアドバイザリーボードの参加メンバーだからです。

  また、接触機会に関係なく新型コロナの新規陽性者数は上下動しているのです。専門家が提唱した『対策』や『制度』が社会を痛めつけている原因であり、『コロナ対策禍』が元凶であることは鮮明になっていると言わざるを得ません。


2022年7月27日のアドバイザリーボードに提出された今後の見通し

  7月27日に開催された第92回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードに提出された『直近の感染状況等の分析と評価(PDF)』は以下のとおりです。

  NHK が報じた「感染者および濃厚接触者の急増により社会活動全体への影響が生じている」と評されています。

  検査で陽性反応を示しても当人が無症状なら問題ありません。濃厚接触者は言うまでもないことです。にも関わらず、“社会活動を問題なく行える人” を「陽性反応」や「濃厚接触」を理由に隔離する対策を採用したことで社会活動全体に支障が生じているのです。

  一連の対策を促したのはアドバイザリーボードの参加メンバーである専門家です。

  また、新型コロナの第1波から3年目を迎える2022年夏においても『感染しない・させない』や『接触削減』を主張している時点で「学習能力ゼロ」との批判は避けられないでしょう。


昨夏(2021年夏)に「感染が減少する要因は何もない」と断言して墓穴を掘った専門家集団

  アドバイザリーボードの座長を務める脇田隆字氏や政府分科会の会長を務める尾身茂氏ら専門家集団は昨夏に「感染が減少する要因はない」と断言し、真逆の結果に直面しました。

  その当時も『感染しない・させない』や『接触削減』を主張していたのです。

  専門家はそこから知識をアップデートした様子はありません。脇田氏や尾身氏ら専門家は「新型コロナの新規陽性者数」による煽りを続けていますが、「重症化率が季節性インフルを下回った現実」への言及は避けたままです。

  新型コロナの治療費が公費負担のままだと「医療側は新型コロナを煽れば煽るほど儲かる構図が維持される問題」があります。“季節性インフルよりも軽微な新型コロナ” は任意検査は自己負担とし、医療費の自己負担は「インフルエンザと同じ3割」にすべきでしょう。


重症化率を “ガン無視” して『ゼロコロナ』を求めるアドバイザリーボード

  アドバイザリーボードに参加する専門家や医療関係者が『新規陽性反応者数』を強調するようになったのは「重症化率が季節性インフルエンザを下回っている現実を突き付けられたから」です。

  季節性インフルエンザの重症化率は7月13日の第90回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボード「60歳以上が 0.79%」、「60歳未満だと 0.03%」と報告PDF)してしまったからです。

  この報告が悩ましいのは「大阪府が新型コロナによる新規重症者数を発表しているから」です。つまり、大阪府が『年齢別の新規陽性者数と新規重症者数』を発表しているため、『年齢階級別の重症化率』が第三者にも可視化されている状態にあるのです。

  「若者でも重症化する恐れがある」と煽れば、「季節性インフルよりも重症化率は低い」と “データ付き” で反論されることは避けられません。だから、専門家や医療関係者は重症化率には言及せず、医療逼迫の可能性で煽り続けているのです。


「高齢者の重症化率が現行の2倍かつ新規陽性者数が10倍」になれば『オミクロン株』と同等の新規重症者数

  重症化率への言及を避ける専門家は「高齢者の重症例や死亡例が増える可能性」を懸念することで感染対策の正当性を訴えていますが、試算が示されていない可能性は無意味なものです。

  なぜなら、『オミクロン株による感染拡大期に大阪府から報告された30代以上の新規重症者数』と『(6月19日以降7月27日までに報告された BA.5 による)新規重症者数』を比較すると以下のようになるからです。

  高齢者の重症化率を60代 0.15%、70代 0.25%、80歳以上 0.45% と現状の2倍以上に水増しをしても『オミクロン株による感染発生期間に報告された重症者数』が報告されるには「BA.5 による現在の新規陽性者数の 5〜10 倍が必要」となります。

  (47000人の新規陽性者が重症化率 0.45% だと211名が重症となり、重症報告済みの18名と合算すると『大阪府でのオミクロン株による80歳以上の新規重症者数239名』と並ぶ)

  BA.5 による新型コロナの新規陽性者数が『現状の 5〜10 倍』になることはないでしょう。なぜなら、先週と比較して2倍の下回る水準となるなど感染拡大のスピードが鈍化が報告されているからです。



  新型コロナの『病状』によって社会活動に支障が生じているなら「接触削減などの対策」は理解されるでしょう。しかし、社会活動の支障となっているのは『新型コロナの病状』ではなく『陽性反応や濃厚接触認定による隔離』というコロナ対策なのです。

  病状はコロナ禍ですが、隔離による弊害は『コロナ対策禍』です。コロナ対策をアドバイザリーボードや分科会を通して政府に提言した専門家集団の責任を問う声が上がるのは自然なことであり、責任と取る必要があると言えるでしょう。