アドバイザリーボードで「日本の10倍の感染爆発が起きた米仏では医療逼迫なし」と報告され、専門家や医クラの梯子が外される

  6月30日に第89回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードが開催され、その中で「アメリカやフランスでは日本の10倍以上の感染爆発が生じたのに『医療崩壊』は生じなかった」と報告されています。

  これらの国々で医療崩壊を回避できた理由は「人的資源や物的資源を柔軟に増やせたから」と言及されています。高齢者を対象にした『介護』や『生活支援』に注力することで収益性を高めて来た日本の医療制度に固執した業界の責任は免れないでしょう。


日本の10倍以上の感染爆発でも医療崩壊が起きなかったアメリカやフランス

  6月30日に行われた第89回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードで産業医科大学の松田晋哉氏提出した資料(PDF)には以下のスライドがあります。

  「アメリカやフランスでは日本の10倍以上の感染爆発が生じたにも関わらず『医療崩壊』は起きなかった」と指摘されているのです。

  その要因は「人的資源と物的資源を増やすことができたから」と言及されています。これは「日本は医療の人的資源および物的資源を柔軟に増やせなかったから医療逼迫が生じた」と認めたも同然です。

  現実から目を背けて責任転嫁を続ける専門家や医クラの存在は「百害あって一利なし」と言わざるを得ないでしょう。


新型コロナ対策を自画自賛した尾身茂氏と脇田隆宇氏

  日本での新型コロナ対策を取り仕切ったのは政府分科会会長の尾身茂氏とアドバイザリーボード座長の脇田隆宇氏です。

  この両名は『新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議』で(自分たちが主導した)新型コロナ対策を自画自賛し、逼迫の危機に瀕していた医療提供体制は以下のように評価(PDF)しています。

  「当初は厳密な感染対策が必要とされたので対応できる医療機関が限られた」と言及していますが、『厳密な感染対策』を要求したのは尾身氏や脇田氏です。

  また、新型コロナの感染症法上の分類も『指定感染症』から『1類以上』に変更したままで “対応できる医療機関や人的資源” を絞ったままにしていました。

  医療業界は業界収入の9割が税金と保険料です。「『業界が拒否権を持ったまま補助金増額による自主的な対応』を提言した “医療の専門家” が業界を焼け太らせた」と総括されるべきでしょう。


日本の人口1000人あたりの医師や看護職員は欧米主要国と同水準

  医療逼迫の話題になると「人的資本はすぐに湧き出ることはない」と否定する “医クラ” が散見されますが、その主張は「医療業界が(医師会を通して)求めた医療行政の方針は間違いだった」と言っていることと同じです。

  理由は「日本はアメリカやフランスと人口1000人あたりの臨床医師および臨床看護職員は同水準」であると財務省・財政制度分科会の資料(PDF)で示されているからです。

  大きな差になっているのは「病床数がアメリカやフランスなどと比較して多すぎること」です。つまり、人員不足は病院を集約すれば解消可能であり、技量不足は医療・看護教育の不備になるのです。

  この医療業界の暗部に光を当てられたくないから、プライドだけが高い “医クラ” ほど「必要な人員を即座に育成することは不可能」などと問題の本質からテーマを逸らそうと詭弁を展開しているのでしょう。


『介護や生活支援などの高齢者向け医療』を優先して来た医療業界が医療逼迫の原因

  ちなみに、日本で感染症対策に従事する医療従事者が足りない背景については尾身氏と脇田氏が連名で発表した上述の資料(PDF)の中で言及されています。

  オブラートを包まずに表現すると、「日本は世界一の超高齢社会であり、診療行為数に応じたインセンティブでの診療報酬が最大化するよう介護や生活支援など高齢者向けの医療サービスを提供する病院を増やしてきた」となります。

  高度な医療知識や技術を必要とする『治療』ではなく、応益負担を免除されている高齢者の『延命』で金儲けに走っていたことが医療逼迫の根本的な原因になったのです。ここにメスを入れない限り、同じ失態が繰り返されることになるでしょう。