アドバイザリーボードは「新型コロナを5類に」と主張する阿南英明氏の『作戦変更』の提言に便乗する前にすべきことがある

 2月24日に開催された第73回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードにおいて、神奈川県医療危機対策統括官の阿南英明氏が『「濃厚接触者」に関する作戦転換』を訴える資料(PDF)を提出しています。

 阿南氏は「新型コロナは風邪と同様に扱うべき」と方針転換を主張し、2022年の年明け以降はその主張をメディアにも語っています。しかし、アドバイザリーボードや分科会のメンバーは大部分が『現行のコロナ対策』の維持を求めているのです。

 阿南氏の提言に名を連ねる前に “やらなければならないこと” があることを自覚する必要があるでしょう。

 

阿南氏がアドバイザリーボードに提出した資料

 阿南氏がアドバイザリーボードに提出した資料の表紙が以下のものです。

阿南氏が提出した資料1

 「『濃厚接触者』に関する作戦変更」が提言内容であり、医療従事者から大量の濃厚接触者が発生したことで医療逼迫が起きた現実を問題視しています。

阿南氏が提出した資料1

 ただ、思い出して欲しいのは「同一空間にいればオミクロン株の濃厚接触者」と定義変更したのはアドバイザリーボードなのです。(過去記事参照)

 アドバイザリーボードの自業自得ですし、免罪されるのは阿南氏のように「(1類以上の法的位置付けによる)現行の対策は変更すべき」と主張した専門家に限られます。大部分の専門家は『方針転換』を “説明” しなければならないでしょう。

 

阿南英明氏と大竹文雄氏は提言に名を連ねる資格がある

 方針転換を説明する必要が(現時点では)ないのは阿南英明氏と大竹文雄氏の2名です。阿南氏は「普通の日常生活と同じことをしよう」と1月の時点で呼びかけています。

 また、毎日新聞からの取材にも同様の主張を述べていることが理由です。

 大竹氏は同時期に開催された『基本的対処方針分科会』で「まん防の適用に反対」を表明し、現行対策に異を唱えていることが議事録から確認できることが理由です。

 その一方で「現行対策の継続」を要求・支持した専門家も多数います。彼らは「自らの立場を変更した理由」を説明することが責務になります。

 

尾身・脇田・釜萢・岡部・高山の5氏は説明責任を果たせ

 阿南氏の作戦変更提言に賛同する前に “やらなければならないこと” があるのは尾身・脇田・釜萢・岡部・高山の5氏です。

 尾身茂氏は分科会の会長、脇田隆字氏はアドバイザリーボードの座長です。両名には『自らが取りまとめた専門家の対策方針』との整合性を取る必要があるため、命綱を装着する前に説明責任を果たさなければなりません。

 分科会で「新型コロナが季節性インフルと同程度であるエビデンスはない」と声高に主張した釜萢氏も同様です。付和雷同した分科会のメンバーである岡部氏も説明責任からは逃れられません。

 高山義浩氏は「5類に下げると全数把握ができなくなるし、治療費が公費持ちではなくなるぞ」と現状維持を要求し続けていました。保健所がパンクする原因をアドバイザリーボードの一員として残そうとしているのですから、この責任は問われるべきでしょう。

 

 アドバイザリーボードの参加メンバーは「コロナ対策を実施することで補助金を得る立場」にいる人物ばかりです。コロナ対策を継続した方が懐が温まる人物ばかりなのですから、提言を実行する予算は「医療予算の付け替え」で捻出すべきなのではないでしょうか。