“中等症以上になった中高年” が中心のコロナ後遺症を大々的に報じて煽る共同通信
6月1日に実施された第86回・新型コロナ対策アドバイザリーボードで「1年後も入院患者の3割が後遺症を抱えている調査結果が明らかになった」と共同通信が報じています。
陽性反応者の3割に後遺症が出るのはないのです。また、共同通信が報じた総括研究報告の入院患者は「50代以上が多かった」と資料に記述されていますが、記事には触れられていません。
また、中等症以上になった中高年に後遺症が多く残っている傾向も示されており、“新型コロナ煽り” を続けようとする報道姿勢は問題と言わざるを得ないでしょう。
共同通信が報じた記事の元ネタ
共同通信が「コロナ、1年後も後遺症3割以上」とのタイトルが付けられた記事の元ネタは6月1日に開催された第86回・新型コロナ対策アドバイザリーボードに提出された資料5(PDF)です。
『罹患後症状に関する研究』の2枚目のスライドが根拠になっています。
- 年代は50代以上が多く、日本の COVID-19 臨床を反映した背景となっていた
- 中年者(41-64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向
- 罹患後症状の分布に世代間での差異
- 全体での罹患後症状の有症状率(12ヶ月後)
- 酸素需要あり: 36.1%
- 酸素需要なし: 31.8%
- 本研究では、非感染者との比較は行っておらず、結果の解釈には注意が必要
入院すればベットの上での生活になるため『筋力低下』は避けられません。また、高齢者は認知症が進行することで『思考力の低下』が起きることでしょう。
『筋力低下』や『思考力の低下』は「新型コロナの後遺症」として総括研究ではカウントされているのです。しかも、注釈にあるように「新型コロナ以外の理由で入院した患者との比較は未実施」なのです。
その中で共同通信は「1年後も入院患者の3割が後遺症を抱えている」と報じたのですから、記事の内容を批判する声が医療側から出されなければならないはずです。
“2021年2月までにコロナ陽性で入院した人” が調査の対象
慶応大の福永興壱教授などが行った総括研究で注意しなければならないのは「聞き取り調査を行った対象」です。
対象:2020年1月〜2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者
大阪府などで『アルファ株』による感染拡大が起きたのは「2021年4月下旬から5月上旬」です。つまり、共同通信が報じた後遺症は『変異株が発見される前の新型コロナ』で調査したものであり、初期株が変異株に駆逐された現状で大々的に応じるものではありません。
『アルファ株』は「罹患から6ヶ月後までの有症率」を報告できるはずですし、『デルタ株』も「罹患から3ヶ月後までの有症率」を報告できると思われます。
これらに関する報告がないアンケート調査の価値を見出すことは困難と言わざるを得ないでしょう。
厚労省が『ワクチン接種歴不明のコロナ陽性者』を『ワクチン未接種のコロナ陽性者』としてワクチンの接種効果を語るデータ改竄に手を染めていた問題で「バイアスを加味していないデータに意味はない」と無理筋な擁護をしていた人はコロナ後遺症問題にも同様の批判を向ける必要があります。
なぜなら、『コロナ後遺症』の調査はアンケート形式で行われ、“バイアスが加味されていないデータ” を基にした報告となっているからです。都合の良い結果だけをチェリーピッキングする行為は信用を損ねることと自覚すべきでしょう。