「ワクチン未接種でも40代以下はオミクロン株は脅威ではない」とのアドバイザリーボードの発表を無視する自民党プロジェクトチーム

  自民党(のワクチン・プロジェクトチーム)が「若者の4回目接種に政策的な意義は少ない」とし、「高齢者や基礎疾患保有者を対象に4回目接種を進めるべき」との考えを示したと FNN が報じています。

  ここで問題となるのは自民党のワクチン・プロジェクトチームは「新型コロナワクチンの若者への3回目接種は有効」との前提を持っていることです。理由は40代以下ではワクチン未接種でもオミクロン株の罹患で重症化・死亡する事例は極めて稀だからです。

  この事実を伏せたままで「若者への3回目接種」を促すのは非合理的と言わざるを得ないでしょう。


FNN が報じた記事の内容

  FNN が報じた記事は以下のものです。

  自民党のワクチンプロジェクトチームは15日の会合で、ワクチンの4回目接種などについて提言をまとめた。
  提言では、「ワクチン接種の主たる目的は重症化予防効果にある」した上で、「年齢の若い健常者は、3回目接種後のオミクロン変異株による重症化のリスクは低く、(4回目接種で)更に重症化予防を上積みする政策的意義は少ない」と指摘した。
  そして、「重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を持つ人を対象に、4回目接種を進めるべきだ」と結論づけた。

  自民党のワクチン・プロジェクトチームには “経済破壊担当大臣” と揶揄された西村康稔氏が中枢にいるのです。『支離滅裂な対策』が提言されることは想定内と言えるでしょう。


アドバイザリーボードで示された『オミクロン株』に対する新型コロナワクチンの接種効果

  自民党のワクチン・プロジェクトチームの提言がナンセンスなのは「前提が間違っているから」です。4月13日に開催された第80回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードで以下の資料(PDF)が記されています。

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  石川・茨城・広島の3県からの協力で得られたデータを基に『ワクチン接種歴および年齢階級別の重症化率と致死率』が公表されてるのです。

  このデータを確認すれば、「年齢の若い健常者は3回目接種後のオミクロン変異株による重症化のリスクは低い」との認識が誤りであることは明らかです。

  なぜなら、“40代以下” はワクチン未接種でもオミクロン株による重症化リスクは 0.1% を下回っているからです。したがって、自民党のワクチン・プロジェクトチームに科学的な思考を期待しても無駄と言わざるを得ません。


オミクロン株による感染者1万人あたりの重症者数と死者数

  なお、陽性反応者1万人あたりに換算し直した年齢階級別の『オミクロン株による重症者数』と『死者数』は以下のとおりです。

  「ワクチンの接種効果があるのは高齢者だけ」と言えるでしょう。しかも、“ワクチン接種済の高齢者” の方が “ワクチン未接種の若者” よりも新型コロナで重症化または死亡しやすい現実がデータとして示されているのです。

50代以下のみを抽出

  この現実に対し、一部の医療従事者は「若者は感染して問題なくても高齢者は死亡するんだぞ」と脅しています。それなら、高齢者は自らの命を守ってもらうための “賠償” を若者など現役世代にしなければなりません。

  なぜなら、医療関係者などが求める『コロナ対策の利益享受者』が高齢者なのですから、応益負担となるのは当然だからです。ところが、コロナ対策費を負担させているのは現役世代です。

  これでは分断が起きるのは必然でしょう。



  自民党のワクチン・プロジェクトチームは「ワクチン接種効果の乏しい若者にまで3回目接種を促している」のですから、ワクチン接種に関わることで報酬を得られる医療業界との関係が深い議員が中心なのでしょう。

  健康な若者が新型コロナワクチンを接種する理由は何も見当たらない状況です。他人に感染させることを防ぐ効果も重症化を防ぐ効果もないからです。

  この現実がある中で3回目接種をしようとする若者がどのぐらいいるのかが注目点なのではないでしょうか。