3回目接種の先進国での感染拡大が深刻な現実から目を背け、「ワクチン接種の滞りで感染減少が鈍化」との詭弁を弄する尾身茂氏

  3月2日に行われた参議院予算委員会で尾身茂氏が「高齢者と児童など子供に感染が広がったので下火にならない。ワクチンの3回目接種が進んでいないことも原因」との主張を述べたと報道各社が報じています。

  しかし、『尾身氏の主張』には事実に反する虚偽が含まれています。新型コロナワクチンの3回目接種率が高い国ほどオミクロン株による感染拡大は深刻であり、ワクチンに感染抑止効果は期待できないでしょう。


尾身氏の発言内容

  尾身氏が3月2日の参院・予算委員会で行なった発言は以下のものです。

  政府分科会・尾身会長「若い人はだんだんと減ってきますけど、二極化といいますか、高齢者の方とそれから児童、子供の方にいま感染が広がっているので、そのことによって感染がなかなか思うように下火にならない。ワクチンの3回目の接種がいってないということも関係ある」

  この尾身氏の発言内容が事実に基づかないことを東京都が発表しているデータを基に指摘することにしましょう。


東京都での新規陽性者数と実効再生産数Rの推移

  尾身氏は「高齢者と子供にはいま感染が広がっている」と主張していますが、これは明らかなデマです。10代以下は2月12日から、65歳以上では2月14日から R<1 で推移しているからです。

  また、「感染が “思うように” 下火にならない」との発言は「対策で感染を制御できる」と主張していること同義です。

  それが可能であるなら『高齢者施設でのクラスター対策』で結果を示すべきです。コロナ病床の占有しているのは「高齢者施設の入居者」を始めとする高齢者なのです。現役世代や子供たちの感染状況は別問題として切り分けなければなりません。


新型コロナワクチンに感染予防効果は見込めない

  次に、尾身氏は「ブースター接種(=3回目接種)が滞っているので感染の減少が鈍化している」と主張しています。しかし、これも疑義を呈さざるを得ません。

  その理由は過去記事で指摘した『ワクチン接種者数から算出した未接種者による陽性者の推計値』よりも『ワクチン未接種者の実測値』の方がはるかに少ないからです。

10代以上の新型コロナ陽性者数とワクチン接種歴の有無

割合(パーセンテージ)

  ワクチン接種歴の有無だけでラベリングした『推計値』だと「未接種者の割合は 25% で推移」しているのですが、接種歴の有無が判明した新型コロナ陽性者数から算出した未接種者の割合は 20% を下回るのです。

  新型コロナワクチンに感染予防効果がある場合は『未接種者の絶対数』が大きくなるため、“接種歴の有無が判明した新型コロナ陽性者数から算出した未接種者の割合(=中位で表記)” は『推計値』よりも大きくなるはずです。

  しかし、現実のデータが示しているのは「それとは真逆の結果」なのです。したがって、新型コロナワクチンの3回目接種をしようと4回目接種をしようと逆効果になる可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。


2022年1月16日の時点で「18歳以上の 52.7%、60歳以上の 83.3% が3回目接種済み」の韓国でオミクロン株による感染爆発が発生

  尾身氏ら専門家が認識しなければならないのは「(隣国である)韓国での感染状況」でしょう。韓国では国民の大多数がブースター接種を完了しているにも関わらず、日本よりも深刻な感染に見舞われているからです。

表: 韓国におけるブースター接種の進捗状況
年齢
全体18歳+60歳+
2022年1月16日
データ
45.5%52.7%83.3%
2022年3月3日
データ
61.5%71.3%88.4%

  韓国では1月中旬の時点で60歳以上の 83.3% が3回目接種を終えていましたが、2月中旬以降のオミクロン株による感染拡大で『新型コロナの死者数』は過去最悪を記録しました。

  しかも、新規陽性者数は日本を大きく上回る「1日あたり20万人」にまで達しています。この事実を無視している時点で尾身氏の発言は「妄言」です。

  『武漢株』に対応した新型コロナワクチンを(短期間に)複数回接種したことで、人体の免疫が『変異株』に上手く反応しない逆効果に陥っている状況が疑われるのです。ワクチン接種が進んでいない国ほど「オミクロン株による影響は軽微」だったのですから状況を精査する必要があるでしょう。



  と言っても、「新型コロナの感染拡大は制御可能」との『カルト的な考え』に執着する尾身氏には無理なことです。

  カルトに嵌った尾身氏ら専門家が求める対策(の弊害)で若者や子供たちが命を落としているのですから、日本の衰退はさらに加速することになるでしょう。