『接種率から算出した未接種の陽性者数』と『未接種が確認された陽性者数』が同程度では新型コロナワクチンの感染予防効果は薄い

  オミクロン株の感染拡大が起きていることで「ワクチン未接種者が陽性者の多くを占める」と主張する医療関係者が散見されます。しかし、この主張は誤りがあると言わざるを得ないでしょう。

  なぜなら、『ワクチン接種率から算出した “未接種の陽性者数”』と『未接種が確認された陽性者数』に大きな差がないからです。そのため、新型コロナワクチンの感染予防効果が疑われるのは必然なのです。

  ※ 追記(2022年1月24日): 同日までの発表値を反映

  ※ 追記2(2022年3月2日): 2月24日までの発表値を反映


日本における年齢階級別のワクチン接種率

  日本における年齢階級別のワクチン接種率は首相官邸が公表(PDF)しています。2021年12月27日時点での数値は以下のとおりです。

f:id:sqboe:20220113000128j:plain:w600

  この数値は NHK の特設ページでも取り上げられており、使える指標と言えるでしょう。

f:id:sqboe:20220113000211j:plain:w600

  年末年始から始まった日本国内でのオミクロン株による感染拡大には『2021年12月27日公表分のワクチン接種率』を用いて『未接種者の陽性者数』の想定値を算出します。

  これは年始にワクチン接種をしても抗体による効果が感染拡大を妨げる要素にはならないことに加え、“接種可能な回数” が全体の接種率を左右するほど大きくないことが理由です。


東京都で想定される『ワクチン未接種の陽性者数』の算出方法

  『ワクチン未接種の陽性者数』の算出方法は「年齢階級別の新規陽性者数』に『ワクチン未接種率』を掛けるという単純なものを採用しました。1月11日発表分だと以下のようになります。

表: 東京都の陽性者(2022年1月11日発表分)
報告数未接種率想定値
100歳超 010%0
90代 45%0.2
80代 155%0.75
70代 205%1
60代 3010%3
50代 7910%7.9
40代 11320%22.6
30代 16325%40.8
20代 38325%95.8
10代 10025%
(12〜19歳)
25
9歳以下 550%55
合計 --252

  『各年齢階級別で想定される “ワクチン未接種の陽性者数” の合計値(= 1月11だと252名)』が『都がワクチン未接種を確認した陽性者数』と比較してどのぐらい差があるのかで「ワクチンによる感染予防効果があるか」を評価できるはずです。

  • ワクチンによる感染予防効果が
    1. ある:『想定値』<『都が未接種を確認した陽性者数』
    2. ない:『想定値』≒『都が未接種を確認した陽性者数』

  『ワクチン未接種者の想定値』は「ワクチン接種歴の有無」で算出した数値です。

  ワクチンに感染予防効果があるなら接種者は陽性にはなりませんが、一方で『未接種者の絶対数』は多くなります。そのため、ワクチン接種効果がある場合は『未接種者の想定値』を上回る『都が未接種を確認した陽性者数』が示されるはずです。

  では本題の数値を確認することにしましょう。


東京都から報告された『ワクチン未接種の陽性者数』の推移

  東京都は新型コロナの新規陽性者数を発表する際に「ワクチン接種の有無」も合わせて掲載しています。年齢階級別ではありませんが、全体像を掴むことはできます。

絶対値

  『ワクチン未接種者の想定値』は『都が未接種を確認した陽性者数』とほぼ同数で推移しており、『ワクチン接種の有無が分からない陽性者』がどちらかで数値が上下動することになります。

  ただ、不明の全員が「未接種」と言うこともなければ、全員が「接種歴あり」ともならないでしょう。したがって、現時点で評価を下すには「接種状況が不明の陽性者は想定から外す」がベターと考えられます。

割合(パーセンテージ)

  『ワクチン未接種者の想定値』では「全体の 25% 前後で推移」しており、これは日本全体での接種率が 74% ですから想定内と言えるでしょう。

  一方で『都が未接種を確認したワクチン未接種者』の割合はオミクロン株による感染拡大が本格化した頃からは 25% を下回る日もあります。

  『接種状況が不明な陽性者』を除くと「全体の 30% 強で『都が未接種を確認した新型コロナ陽性反応者』は推移」していることから、ワクチンに大きな感染予防効果があるとは言えない状態です。

  ※ 追記(2022年1月24日): ワクチン未接種者の割合が増えているのは「接種対象外である10歳未満の陽性者数が増えているため」です。


9歳以下の新型コロナ陽性者を除いた『ワクチン未接種の陽性者数』

  日本では11歳以下への新型コロナワクチン接種は行われていません。“10歳未満の子供” が 新型コロナ陽性反応を示した場合は『ワクチン未接種者』となるため、統計を確認する上で問題となります。

  東京都の発表する新規陽性者数から「9歳以下」を除いたグラフが以下のものです。

絶対値

割合(パーセンテージ)

  ワクチン未接種である10歳未満の子供たちによる新規陽性者数を除外すれば、『接種率に基づくワクチン未接種者の推計値』と『都が確認したワクチン未接種の新型コロナ陽性者』の割合はほぼ同数で推移していることが浮き彫りとなります。

  そのため、「ワクチンに感染予防があるとは言えない」との結論に変わりはないでしょう。


「陽性者の半数がワクチン未接種」とのデマを流す木下喬弘氏 (※ 後日修正済)

  ところが、こびナビの木下喬弘氏は「陽性者の半数しかワクチン接種をしていない(=残りの半数はワクチン未接種)」とツイートしています。

  そもそも、若者はワクチン未接種でも新型コロナ罹患時に重症化するケースは極めて稀です。接種率の低い若者に「ノーガードだと重症化するかも知れない」と脅すなら、「ワクチンを接種したら副反応が出るかも知れない」とブーメランになります。

  毒性が弱まっているオミクロン株なら、ワクチン接種の費用対効果はデルタ株の時よりも悪化します。それでも「ワクチン接種」を推奨する人物は「接種効果」ではなく「接種行為」による恩恵を享受する人物だと認識する必要があるでしょう。