政府分科会と文科省が「密集や接触する場面がある教育活動(≒合唱・演奏・調理実習・部活)は自粛を」と要請

  2月4日に行われた第12回・新型コロナウイルス感染症対策分科会で分科会と文科省が「オミクロン株の感染拡大」を理由に「密集や接触する場面のある教育活動の自粛」などを要請しています。

  憲法に記された『教育を受けさせる義務』を放棄する愚行ですし、子供たちは新型コロナに罹患しても入院に至ることが極めて稀です。「シルバー・デモクラシーに突き進む専門家や政府の醜態が示されている」と言わざるを得ないでしょう。


対策分科会が第12回の会合で示した提言

  尾身茂氏が会長を務める『新型コロナウイルス感染症対策分科会』が2月4日に開かれた第12回で示した提言は資料(PDF)として公開されています。

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  「マニュアルでのレベルにとらわれず、基本的に感染リスクが高い教育活動は実施を控える」と提言しているのです。

  紹介したスライドの前では「感染拡大のスピードが速く、無症状者や軽症者が多いので『レベル3』での対策を前倒し(例:レベル2)で実施する必要がある」と法律を無視した提言をする有様です。

  新型コロナ対策を講じるには『特措法施行令第5条の三』に記された「季節性インフルエンザよりも重症例の発生頻度が相当程度高いこと」を満たさなければなりません。その証明をしていない分科会の対策提言には根拠がない状態です。

  したがって、「教育を受ける」という子供たちの権利を制限してはならないことなのです。


文科省初等中等教育局も政府分科会と歩調を合わせる

  また、文科省が政府分科会と(新型コロナ対策で)歩調を合わせていることが致命傷でしょう。文科省初等中等教育局も2月4日の第12回・新型コロナウイルス感染症対策分科会に以下の内容が含まれた資料(PDF)を提出しているからです。

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  萩生田光一・前文科相の時代は『子供たちが教育を受ける権利』はまだ守られていました。それが首相が交代すると大臣の質が急激に劣化したのです。

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  • 基本的に控えることが求められる感染リスクの高い学習活動
    • 全体:児童生徒が長時間・近距離で対面形式となるグループワーク等
    • 音楽:合唱・リコーダーや鍵盤ハーモニカなどの管楽器演奏
    • 家庭科:調理実習
    • 体育:児童生徒が密集する運動、近距離で組み合ったり接触する運動

  「感染は悪(=問題行為)」との価値観に基づき、差別の温床を育んでいるのです。ハンセン病と同じ『無らい県運動』が繰り広げられており、その反省が何も活かされていないのは致命的です。

  文科省ですら子供たちの権利を軽視しているのですから、少子化が進行するのは必然と言わざるを得ないでしょう。


「基礎疾患持ちの高齢者を守ることが重要」と公言した尾身茂氏

  『オミクロン株の特徴に合わせた対策』を提言した尾身氏は “狙い” を以下のように説明したと buzzfeed が報じています。

  尾身会長は、「飛沫やエアロゾルをより重視した対策や、様々な場面、場所で感染リスクを避けることが重要。今回の流行で特徴的なのは、介護されている人、循環器の疾患を持っている人、脳血管疾患。こういう人が感染を契機にガタッと増悪している。そういうことで入院している人が多いので、こういう高齢者をみんなで守ることが重要だ」と、対策の狙いを説明した。

  「基礎疾患持ちの高齢者をオミクロン株の罹患から守るために経済活動や学習活動を自粛せよ」と尾身氏らは要求しているのです。

  高齢者を守るのは医療や介護の仕事です。一般人や子供たちが『分科会が提唱する効果が疑わしい対策』に尽力しても施設内感染には誤差の範囲内という現実を尾身氏ら専門家は認識しなければなりません。

  また、民間企業で働く現役世代や将来世代は『後期高齢者医療制度』で毎年7兆円の “支援” を強いられており、高齢者を守るための金銭的な負担は極めて重い状態なのです。

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  高齢者が『過剰に守られている現状』は財務省・財政制度分科会で示されているのです。この事実から目を背けて「高齢者をみんなで守ることが重要」はシルバー・デモクラシーの代弁者と同じです。



  子供たちに『密集する運動』や『近距離で組み合ったり、接触する場面のある活動』の自粛を要請しているのですから、同じ行為がある高齢者医療や介護にも自粛を要請しなければなりません。

  コロナ対策で経済的に苦しめられている現役世代や将来世代に対する “恩返し” を『コロナ対策の受益者である高齢者や医療業界』が何もしていないことが最大の問題なのではないでしょうか。