新型コロナ第5波が急減した理由を説明できない専門家を使って『今後の感染対策』を示そうとする後藤茂之厚労相

 10月13日に行われた厚労省アドバイザリーボードで後藤厚労相が「感染者数をもう一段、落とすことが重要」と述べたと日本テレビなどが報じています。

 アドバイザリーボードで座長を務める脇田隆字氏は今年8月中旬に「感染が減る要素はない」と断言していた人物です。そのような専門家に『今後の感染対策』を仰いだところで得られるものはないでしょう。

 

日本テレビが報じた後藤厚労相の発言

 日本テレビが報じた後藤厚労相の発言は以下のものです。

 後藤厚生労働相は、「感染者数をもう一段、落とすことが重要」と述べた上で、早急に今後の感染対策などの全体像を示す考えを示しました。

 『ゼロコロナ』を目指しているのでしょう。そもそも、アドバイザリーボードに出席した専門家は誰1人として「第5波が収束した理由」を説明することができないのです。

 彼ら全員が今年8月中旬に「新型コロナの感染者が減る要素はない。人流を8割削減せよ」と強硬な主張を展開していました。しかし、結果は専門家の見立てとは真逆で現在も新規陽性者数は減少しています。

 この事実を認められない専門家に『効果的な対策』を仰いだところで成果を得ることは困難でしょう。

 

『減らし方の分からない感染症の陽性者数』をどうやって減らすのか

 新型コロナの陽性者数が激減した理由を “感染症の専門家” でさえ提示できないのです。

 新型コロナは『新規陽性者の減らし方が分からない感染症』なのですから、それを「減らす」と宣言するのは空手形と言わざるを得ません。自然の成り行きに任せていることと同じだからです。

 専門家は「人流」を要因としていましたが、第5波での新規陽性者数の激減を説明できなくなると「繁華街の夜間滞在人口」に要因を変更しました。ただ、それでは第4波以前での減少の理由を説明できません。

 それに「『第5波で新規陽性者数が激増していた時』に採られていた対策と同じ」という前提もあるのです。

 “感染症の専門家でない素人” が後出しで言及するような振る舞いで「感染が収束した理由」を尤もらしく説明しているだけです。科学的根拠に基づく提言をする能力のない分科会は解散しなければならないでしょう。

 

今夏の第5波は受け入れて問題のないレベルでは?

 また、今夏の第5波は「許容可能な感染の規模ではないか」の議論をしなければならないはずです。なぜなら(陽性者に占める死者の割合である)致死率が 0.2% とインフルエンザの 0.1% と同等になりつつあるからです。

 致死率は「分子である死者数を減らす」か「分母である陽性者数を増やす」ことで低下します。

 新型コロナの陽性者は『30代以下の若い世代』が数値を引き上げており、若者に向けた自粛要請を完全撤回することで新型コロナの致死率はインフルエンザと変わりない水準になるでしょう。

 若い世代は新型コロナのワクチン接種が遅れていますが、30代の第5波(=7月1日から9月28日)での致死率は 0.02% です。20代以下ではそれよりも低くなるため、高齢者のために若者を犠牲にする対策は即座に止めなければなりません。

 そうしないと少子化がさらに進行することになってしまうからです。

 

 少子化で子供の絶対数が減っているにも関わらず、自殺者数は増えていることが問題になっているのです。

 これは『コロナ対策による弊害』の1つです。後期高齢者の寿命を数年伸ばすために児童や生徒の命を犠牲にし、少子化を加速させる価値があるのかを “コロナ対策を求める人々” が説明しなければなりません。

 対策はトレードオフであり、『後期高齢者』と『若者や子供たち』の命のどちらを優先して守るのかをまずは専門家が現実的な視点から提示しなければならないのではないでしょうか。