尾身氏ら専門家が “オミクロン株による被害が深刻なオーストラリア” を引き合いに『効果的な対策』を提言

  尾身茂氏など厚労省の新型コロナ対策アドバイザリーボードに参加する専門家が連名で「オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策(PDF)」を提言しています。

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  しかし、尾身氏などの専門家が提言した対策では効果を得ることはないでしょう。なぜなら、“オミクロン株の感染拡大時における被害想定” が『オーストラリアの数値』を基に算出されているからです。

  また、『効果的な対策』は「感染者数を(日本の脆弱な医療提供能力で対応可能な水準にまで)減らすために効果的と専門家が思っている対策」であることに留意が必要です。


オミクロン株による感染拡大に見舞われたオーストラリアの事例だけで『対策』を求める尾身氏ら専門家

  1月21日付で公表されている尾身氏らによる『オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策』で「図1」として示されているのが以下の部分です。

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  オーストラリアでの新型コロナの感染状況を示した資料で、オミクロン株による新規陽性者数が増加してから重症者や死者が増加している事実が示されています。

  ただ、この資料には問題があります。それは「各国で」と主張する割に根拠として示されているのは「オーストラリアだけ」なのです。その理由に触れていない時点で「論外」と一蹴しなければならないでしょう。


「オミクロン株による感染拡大」という “年貢の納め時” が訪れたオーストラリア

  なぜ、オーストラリアの感染状況を用いることが不適切かと言いますと「オーストラリアはデルタ株による感染拡大からも逃げ切れていた稀有な国」だからです。

  オーストラリアは『ゼロコロナ』を目指す感染対策をしていましたが、それは変異株による感染拡大に見舞われていなかったからです。ところが昨秋からは(デルタ株による)死者が徐々に増加。

  オミクロン株の割合が過半数を超えた昨年12月中旬以降は死者数も一気に上昇し、『人口あたりでの新型コロナの累計死者数』は韓国に匹敵する水準となりました。

  その一方で(2022年1月以降から)オミクロン株による新規陽性者数が急増中の日本・韓国・シンガポールの3ヶ国での死者数はオーストラリアよりも軽微なのです。この事実を都合良く無視した被害想定は使い物にはならないでしょう。


重症化率を無視して「感染者数を抑制する対策が必要」と訴える尾身氏ら専門家

  尾身氏らは医療逼迫や社会機能不全に陥らないよう感染者数を抑制することが求められていると主張していますが、それは新型コロナを『1類以上』と定めたままでの対応をした場合のケースです。

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  また、「これまでの対策では『感染対策』と『社会経済活動』の両立は考えていなかった」とさりげにカミングアウトしています。これも問題視されなければならないでしょう。

  オミクロン株では「季節性インフルエンザと比較して肺炎・脳症・重篤などの症例の発生頻度が “相当程度” 高い」と証明されていないのです。これは新型インフルエンザ等特措法に基づき『まん防』を適用するための条件です。

  新型インフルエンザ等特措法施行令・第5条に明記されており、「オミクロン株が季節性インフルエンザよりも強毒であると証明」するのは尾身氏ら専門家の責務です。可能性を理由に対策を講じることはタブーであることを肝に命じなければならないのです。



  『効果的な対策』を提言した尾身氏ら専門家は「新型コロナ対策による補助金で潤う立場の人々」です。提言した対策によって生じた経済損失を負うこともなく、“日本での感染症例” という根拠から過去に提案した対策の有効性すら見直していない有様です。

  毒性は季節性インフルエンザと同程度と見られるオミクロン株による感染拡大で社会的に大きな損失が生じるのは「新型コロナ対策が間違っているから」です。

  日本で起きているのは『コロナ対策禍』であり、「尾身氏ら専門家による人災」と言わざるを得ないのではないでしょうか。