コロナ対応に関する有識者会議で『行動制限に効果あり』の説明を受容した山際大臣が「行動制限の効果検証が必要」と手のひら返し

  山際大志郎・経済再生担当大臣が7月12日の閣議後会見で「新型コロナ対策による行動制限に効果があったのかを検証する必要がある」との認識を示したと朝日新聞が報じています。

  山際大臣の発言は手のひら返しを言わざるを得ないでしょう。なぜなら、『新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議』で尾身氏らの「行動制限による効果はあった」と報告を山際氏は受容したからです。

  手のひら返しであればマシですが、ガス抜きであるなら経済の落ち込みは深刻になることが予想されます。


「感染対策の効果検証」に着手するのが “現時点で” 既に2年遅い

  朝日新聞が7月12日付で報じた記事の内容は以下のとおりです。

  これまで政府は、まん延防止等重点措置などで飲食店やイベントを中心とした行動制限を講じてきた。山際氏は「同じような効果を得られるかどうか、議論した上でどうするのかを決めなければならない。有識者にしっかりと議論してもらわなくてはいけない部分もある」として、効果について検証が必要だとの認識を示した。

  山際氏は「これまでと同様の効果を得られるのかを議論しなければならない部分もある」と発言し、「行動制限には効果があった」との立場を採っているものと考えられます。

  ただ、尾身氏ら専門家が主張する『行動制限の効果』が眉唾だったことは昨夏(=2021年夏)に露呈済みです。これは「感染減少に転じる要素はないことで専門家の意見は一致している」と断言した脇田氏が大恥をかいた過去があるからです。

  しかし、その後も尾身氏や脇田氏などの専門家は『2020年の春先から提言する感染対策』を要求し続けました。感染拡大と人流や接触機会との間の関係性が乏しい状況で「対策効果の検証」を怠って来た責任は重いと言わざるを得ないでしょう。


尾身氏と脇田氏は2022年5月に「行動制限による効果はあった」と主張

  山際氏は「行動制限などコロナ対策で得られた効果の検証が必要」との認識を公言しましたが、政府が開いた『新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議』で尾身氏と脇田氏は「効果はあった」と主張(PDF)しています。

  5月20日の第3回会合で「行動制限による効果は一定程度あった」、「飲食の場で感染しやすいことが分かった」などと主張しているのです。

  しかし、尾身氏と脇田氏が主張は「2021年春までのデータ」を根拠にしたものです。デルタ株やオミクロン株による感染状況は加味されておらず、行動制限による効果を見出せない状況になっています。

  『新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議』からの報告を受けた “政府側の責任者” が山際氏であり、過去のデータを根拠に2022年の初夏に「感染対策による効果があった」との報告内容を受け流したことは批判されることになるでしょう。


日本とアメリカの『人口あたりの新型コロナ新規陽性者数』はほぼ同数

  日本では「感染対策によって新型コロナの感染拡大は抑制されている」との主張が医療関係者などから発出されていますが、日本の2022年7月中旬の『人口あたりの新型コロナ新規陽性者数』はアメリカと同数なのです。

  アメリカはスポーツ観戦などでは「ノーマスク」が普通となり、共和党の知事がいる州では感染対策にピリオドが打たれています。この事実から目を背けることは専門家として大きな問題でしょう。

日本とアメリカの新型コロナワクチン3回目接種率

  また、新型コロナワクチンの3回目接種率は日本が 60% 超ですが、アメリカでは 40% 弱です。

  今の日本とアメリカの『人口あたりの新型コロナ新規陽性者数』がほぼ同数ということは「『現状の新型コロナ感染対策』や『ワクチン3回目接種』による有効性はない」と示唆しているのです。

  この事実に異を唱えるのであれば、その主張を裏付ける科学的根拠を提示する必要があります。

  『過去に行ったコロナ対策の効果』を第三者に対して提示するための調査や検証を行わない専門家の見解を政府が鵜呑みにしたままなのです。日本のコロナ対策禍まだまだ続くことになると思われます。