毎日新聞が「オミクロン株の実効再生産数はデルタ株の4倍」と西浦博氏の提出資料を切り取って煽る
毎日新聞(の金秀蓮記者)が12月8日に行われた厚労省のアドバイザリーボードに提出された西浦氏の資料を根拠に「オミクロン株の実効再生産数はデルタ株の4倍」との記事を掲載しています。
ただ、これは提出資料から切り出した情報であり、西浦氏の研究者としての信用を貶める内容です。氏が過去に行った言論からすると自業自得ですが、煽る目的での切り取り報道は醜悪と言わざるを得ないでしょう。
毎日新聞の記事の元ネタに該当する西浦氏が提出した資料
毎日新聞の記事の元ネタとなったのは12月8日に開催された第62回・新型コロナ対策アドバイザリーボードに西浦氏が提出した資料(PDF)です。
その中で『南アフリカ共和国におけるゲノム解析データ分析』に言及されています。
そもそもの比較対象が『減少傾向にあるデルタ株 (R<1)』と『急増中のオミクロン株』だとの注意書きがあるのです。これを記事で言及していない時点で毎日新聞は報道機関として終わっていると言わざるを得ません。
南アフリカ共和国での感染状況
ちなみに、南アフリカ・ハウテン州における『デルタ株』と『オミクロン株』の感染拡大状況をグラフで示すと以下のようになります。
- 『デルタ株』
- グラフの起点は2021年5月1日
- 感染拡大期は「R = 1.3〜1.5」で推移
- 『オミクロン株』
- グラフの起点は2021年11月1日
- デルタ株が収束した11月初旬の新規感染者は1日30人ほど
デルタ株による感染拡大が収束していた11月上旬に南アフリカ・ハウテン州で記録した実効再生産数Rは 0.8 でした。
一方で11月23日に報告された “スパイク” を除いたオミクロン株による感染拡大時の実効再生産数Rは「ピーク時で3」であり、11月時点でのデルタ株の実効再生産数(R=0.8)4倍に相当する R=2.8 に合致します。
虚偽ではないものの、グラフ化すれば煽りの意図があることは明らかです。したがって、毎日新聞の報道に苦言が呈されるかが今後の注目点と言えるでしょう。
死者数への言及がないのは「低位で推移」しており不安を煽れないから
余談ですが、西浦氏が提出した資料には『オミクロン株の感染拡大による重症者の予想数』はありません。もちろん『予想される死者数』への言及もありません。
これは死者がほとんど報告されていないことが理由だと考えられます。
最大都市ヨハネスブルグや首都プレトリアのあるハウテン州での『新型コロナによる死者』は「1日あたり15人弱」で「7日間平均では10人にも満たない」のです。
この事実がある訳ですから、重症化や死者で煽るのは無謀です。
『デルタ株』を上回るハイスピードで新規陽性者が報告されているのですから、毒性が同じなら病院の受け入れ能力を要入院患者が超えてしまい処置が間に合わなくて死亡する事例が起きているはずです。
しかし、そのような兆候は報告から見て取ることはできません。政府当局が隠蔽していれば、マスコミが「特大スクープ」として世界に打電するでしょうし、その傾向もありません。
今後は『ワクチンメーカーの回し者』や『方向転換ができなくなった感染症の専門家』が「対策を施さないと死者が急増するぞ」と根拠を示さずに煽り続けると予想されます。
そのような輩が重宝されている間は日本でのコロナ対策禍が続くことになるでしょう。選挙による審判を受ける政権は「情報の隠蔽」が致命傷となるため、当局の発表資料を過剰に疑う必要はありません。
南アフリカの場合は当局の発表資料を週1回のペースで確認・更新すれば必要な情報を十分に手にすることができると思われます。