【イスラエル】ブースター接種済の状態でオミクロン株を迎え撃つも敢えなく陥落 (2022年1月16日時点)

  イスラエル保健省がダッシュボードで報告している新型コロナの新規陽性者数・重症者数・死者数などをグラフ化しましたので紹介いたします。

  グラフ化の対象は「2022年1月15日まで」です。

  『新規陽性者数の増加ペース』は鈍化しているものの、『入院中の重症者数』が急上昇を見せている点が懸念事項です。イスラエルはブースター接種を終えた状態で今冬を迎えている事実は知られているべきと言えるでしょう。


新規陽性者数と実効再生産数Rの推移

  オミクロン株による新型コロナ感染拡大に見舞われているイスラエルですが、実効再生産数Rのピークは「2022年1月9日に記録した 2.84」でした。その後は緩やかな曲線で減少の一途をたどっています。

  "R > 1" の状態が続いているため、イスラエルでの新規陽性者数は先週よりも増えます。ただ、実効再生産数Rが『先週の数値』を上回るリバウンドを記録した事例は報告されていません。

  したがって、今週が新規陽性者数のピークになる可能性が高いと言えるでしょう。


重症者数の推移

  一方で懸念は『入院中の重症者数』が「1年前よりも深刻なペースで急増中」であることです。

  イスラエルでは2021年12月中旬に『入院中の重症者数』は75人にまで減少。2022年の年明けにオミクロン株の感染拡大が始まると新規重症者も増加し、『入院中の重症者数』は2022年1月中旬で約450人に達しています。

  「オミクロン株の感染拡大から数週間後に入院患者や重症者数が増える」との主張は事実ですが、イスラエルでは高齢者などを中心にブースター接種を終えた状態で今冬を迎えていることを忘れてはなりません。

  その主張をすればワクチン接種効果に疑念を抱かれる結果を招くことになる現実に留意する必要があるでしょう。


死者数(7日間平均)の推移

  イスラエルでの新型コロナによる死者数は「1日あたり10人弱」にまで上昇しました。

  イスラエルの人口は約930万人で大阪府よりも多く、神奈川県と同規模です。日本でもイスラエルと同時期からオミクロン株による感染拡大は起きていますが、死者は全国で「1日あたり5人前後」です。

  日本と比較すると深刻ではあるものの、昨年1月から2月にかけて感染状況と比較すれば「軽微」と言えるはずです。デルタ株の感染拡大が起きた昨夏の新型コロナによる死者数は「1日あたり30人弱」でした。

  当時のイスラエルはワクチン2回接種済であり、その時と比較して死者数(の7日間平均値)がどのぐらい抑えられるのかが注目点になると思われます。