コロナ対策で雇用保険の積立金を溶かした厚労省、保険料率の引き上げによる埋め合わせを画策

 厚生労働省が雇用保険・失業等給付の保険料率を 0.6% に引き上げる方向で調整に入っていると毎日新聞が報じています。

 雇用保険の積立金が消失した原因は「政府の新型コロナ対策」であり、それを主導した厚労省と恩恵を受けた高齢者が弁済しないのは問題と言わざるを得ないでしょう。

 

コロナ対策によって消失した雇用保険の積立金

 毎日新聞が記事にしている雇用保険の積立金は数日前に過去記事で言及したものです。元ネタは11月19日に開催された第159回労働政策審議会の資料です。

失業等給付に関わる保険料率の推移

 『失業等給付に係る雇用保険料率』は現行で 0.2% なのですが、これを 0.6% にまで引き上げようとしているのです。

 また、『雇用保険二事業に係る雇用保険料率』も現行の 0.3% から 0.35% への引き上げが記事で言及されています。

雇用保険二事業に係る雇用保険料率の推移

 この対応で問題となるのは「政府(≒厚労省)が採った新型コロナ対策で生じた弊害」なのです。不要不急の外出自粛などで経済を落ち込ませて雇用保険を積立金を吹き飛ばした挙句、労働者が支払う保険料率の引き上げで埋め合わせることは論外と言わざるを得ません。

 

“ニューノーマル” を求める限り、経済情勢は上向かずに雇用保険の給付は続くことになる

 雇用保険の積立金が消失した分を埋め合わせる責務があるのは以下の2者です。

  1. 新型コロナ対策による受益者
    • 高齢者
    • 医療従事者
  2. 新型コロナ対策の提案・実行者
    • 日本政府
    • 政府分科会や厚労省アドバイザリーボード

 「基本的な感染対策の継続を」と “現在も” 呼びかけているのですから、雇用保険の給付額は今後も高止まりの状況が続くことでしょう。

 つまり、新型コロナ対策を継続するのであれば『対策による恩恵を最も享受している者』が対策費を負担しなければなりません。その代表例である高齢者や医療従事者の負担がないことが問題なのです。

 

 これは「経済(活動)よりも(高齢者の)命」で突き進んだことによる『予想された結果』です。

 高齢者への医療行為で報酬を得ている医療従事者は今後も「経済よりも命」と主張し続けますが、それを支持する国民が多い限り経済は落ち込み続けるでしょう。納税者より社会保障や補助金の受給者が優遇され続けているのですから。