新型コロナ対策の是非は「寝たきりの後期高齢者だけで50万人超」という現実を踏まえた上での評価を
新型コロナの法的分類が5類に変更されることを受け、専門家が提唱した新型コロナ対策の是非が問われることは不可避な状況となっています。
対策を提唱した専門家は「対策の効果はあった」と主張し、保身に走ると思われます。しかし、日本は寝たきりの後期高齢者が50万人以上もいる超高齢社会なのです。
風邪の罹患を発端に “生物的には死んでいる後期高齢者” が亡くなることは止むを得ません。
「『他人の介助がなければ生命を維持できない後期高齢者が新型コロナ陽性反応を示して亡くなることをゼロにするための対策』を “現役世代や将来世代の追加負担で” 採り続けることは正しいのか」という観点で専門家は歴史的審判を受けるべきです。
コロナ禍でも要介護認定者数は減少しなかった
日本が他国と大きく異なるのは「寝たきり高齢者の存在」でしょう。
厚労省が発表している『介護保険事業状況報告』から「要介護5または要介護4の認定を得ている75歳以上の後期高齢者」をグラフ化すると以下のようになります。
(寝たきりである)要介護5は全体で60万人弱。要介護5の後期高齢者は50万人強で2019年以降は横ばいです。
また、(介助がないと食事・排泄・歩行など日常生活が送れない)要介護4の後期高齢者は80万人弱にまで年々増加しています。
このことが何を意味するかを専門家は自問自答する責務があるはずです。
『年間出生数』が『要介護4認定の後期高齢者数』を下回った
『要介護5の認定を持つ後期高齢者』は「生物的にはすでに死亡している」と見なされるでしょう。他者の介助がなければ日常生活を送ることができない『要介護4の認定を得ている後期高齢者』よりも脆弱だからです。
ところが、「新型コロナなどの感染症に対して最も脆弱な個体」と考えらえる『要介護5の認定を持つ後期高齢者』の認定保持数はコロナ禍でも「横ばい」だったのです。
“感染症に最も脆弱な個体” であるはずの『要介護5の認定を持つ後期高齢者』は減少しなかったこととは対照的に『年間の出生数』は『要介護4の認定を持つ約79万人の後期高齢者』を下回る数値にまで落ち込んだのです。
「『新たな生命の誕生』よりも『寝たきりボケ老人の延命』を優先する新型コロナ対策の費用対効果」は総括しなければなりません。
100年前の1920年に65歳以上が全人口に占める割合は5.3%
尾身茂氏は「(100年前に流行した)スペイン風邪の対応がバイブル」と国会で答弁していましたが、100年前とは年齢構成が全く違うことを認識していないことが致命的です。
総務省統計局が示している人口ピラミッドで比較すると以下のようになるからです。
1920年時点で65歳以上が全人口に占める割合は 5.3% でした。“高齢者のほとんどいない社会” で「働き盛りの若者を中心に死者が多く発生した」のがスペイン風邪です。
しかし、新型コロナでは全人口の 30% 弱を占める65歳以上の高齢者が死者の中心で死亡率を引き上げていたのです。
スペイン風邪と同じ対策をすべての年齢層に求める意味がないことは明らかでしょう。若い世代ほど『対策による恩恵』がなく、『対策による弊害』だけが大きくなるからです。
尾身氏らが主導した新型コロナ対策への評価は行わなければなりませんが、医療業界や高齢の人物がトップを務める評価委員会に託すべきではありません。「あの時は仕方なかった」と擁護する可能性が極めて高いからです。
“不利益を被った側” である勤労世代や若者の目線で「新型コロナ対策の費用対効果はどうだったか」を厳しく査定されるべきです。対策費を実際に負担した人々からの歴史の審判を受けることが当然のことなのではないでしょうか。