新型コロナワクチンの有効性を示そうとした感染研、うっかり『魔の2週間』の存在も証明してしまう

 「新型コロナワクチンを接種した直後に感染しやすくなる」という『魔の2週間』が存在するか否かの論争に思わぬ援軍が現れました。

 ワクチンの有効性を示そうとした国立感染研が「1回目接種から13日以内では有効率がマイナス」と発表したからです。これは『魔の2週間』の主張そのものです。

 今後は「ブースター接種でも『魔の2週間』が起きるのか」を調査すべきと言えるでしょう。

 

感染研が発表した内容

 発表された資料(PDF)は11月9日に行われた第58回・新型コロナ対策アドバイザリーボードで感染研の感染症疫学センター長・鈴木基氏が提出したものです。

デルタ株流行期でのワクチン接種効果

 「2021年8月に報告された症例」が対象で「『ワクチン1回目接種13日目まで』の有効率は -6%」でした。

 一方で『ワクチン2回目接種』による有効率は「90% 弱」であり、こちらは『ワクチン接種推進派』の期待に沿う結果となっています。したがって、どちらか一方だけを認める論調は慎むべきでしょう。

 

『魔の2週間』が存在しても対応は難しくない

 新型コロナワクチンの未接種者よりも感染しやすくなる『魔の2週間』が存在したとしても行政や医療機関の対応は難しくありません。なぜなら、特別な対応は不要だからです。

 ワクチン接種を行うのは「市中に新規感染者数が少ない時期」にすることで『魔の2週間』は回避できます。

 “新型コロナウイルスに感染しやすい人” が一時的に増加したとしても、『他者に新型コロナを感染させる状態の人との遭遇率』が低ければ問題にはならないからです。

 一方で「新型コロナの感染拡大期に急いでワクチン接種を行う」というケースが最悪です。これは『新型コロナ遭遇率が高い状況』の中で “新型コロナウイルスに感染しやすい人” を増やすのですから愚策と断罪されるべきでしょう。

 

新型コロナワクチンで重要なのは「接種対象」と「接種のタイミング」

 新型コロナに罹患した際に重症化するケースが極めて稀である若者や子供は『ワクチン接種で得られるメリット』より『ワクチン接種で生じる副反応などのデメリット』の方が大きい状況です。

 これが「接種の対象」が重要である根拠です。高齢者や基礎疾患を持っている人でないなら、新型コロナワクチンの効果が出揃うまで待つことは『現実的な選択肢』になります。

 また、『魔の2週間』が存在することが調査で示されたのですから「接種のタイミング」を図ることも重要です。

 イスラエルの事例を見ますと「今年1月での陽性者数のリバウンド」と「今年8月・9月の感染爆発」が『魔の2週間』によって生じた可能性が否定できません。どちらも感染拡大時に迅速な接種を行なっており、それが火に油を注ぐ結果になったと考えられるからです。

 ブースター接種時にも『魔の2週間』が発現している状況証拠がある訳ですから、感染研はそのための調査を行う準備はしておくべきでしょう。