「デルタ株の致死率や重症化率はアルファ株と差がない」と厚労省・アドバイザリーボードが発表

 8月11日に開催された第47回新型コロナ対策アドバイザリーボードにおいて、「デルタ株の致死率や重症化率はアルファ株と比較した際の有意差はなかった」との報告がされています。

 一部の医療関係者や医師を名乗る SNS アカウントが「デルタ株は若者の重症化率が高い」などと主張していますが、厚労省のアドバイザリーボードは統計で否定しています。根拠となるデータが提示されていない主張には注意が必要と言えるでしょう。

 

重篤な肺炎になる(≒重症化)確率は『デルタ株』の方が低い

 11日に行われた厚労省のアドバイザリーボードで該当箇所への言及があるのは「資料2-5 HER-SYS データに基づく報告、PDF」です。

デルタ株とアルファ株の症状比較

 元ネタは『HER-SYS データ』を集計したもので、集計期間は2021年6月1日から30日までの1ヶ月です。

 対象者は「変異株 PCR 検査で陽性」となり、「変異株の種類が特定」された上で「有症状」となった人です。したがって、『自覚のない無症状陽性反応者』や『従来株の陽性反応者』は対象外となっています。

 『デルタ株の有症状者』が『アルファ株の有症状者』よりも顕著な差となっているのは「発熱」です。これは10ポイントほど高い水準ですから、この部分が特徴と言えるでしょう。

 咳・頭痛・味覚嗅覚障害は数ポイントほど高い状態です。これは今回の調査で生じた誤差(一時的な上振れ)の可能性も残った状態であり、結論づけることは時期尚早です。

 一方で重症化のバロメーターである「重篤な肺炎」は 0.1 ポイントのマイナスです。下がり幅は小さいのですが、アルファ株で 0.4% だったのがデルタ株で 0.29% に下がっています。

 そのため、アドバイザリーボードが発表した統計を覆すデータを示すことなく「デルタ株は重症化率が高い」と主張する医療関係者はデマを流していると見なさざるを得ないでしょう。

 

致死率に関しても有意差は存在せず

 ちなみに、致死率に関しても「『アルファ株』と『デルタ株』の陽性者群で有意差はない」と言及されています。

デルタ株とアルファ株の新型コロナ陽性者における致死率

 これは「今年6月14日から30日の間に『アルファ株』または『デルタ株』の陽性者となった人を対象に算出した致死率」です。

 『アルファ株』が日本で猛威を振るったのは「今年4月と5月の “ワクチン接種がほとんど進行していない” 大阪」でした。その数値と「ワクチン接種が進んだ後での『デルタ株』の脅威」を比較するのは不適切ですから、注意すべき点があることに留意が必要です。

 

後期高齢者は新型コロナワクチンを接種すべき

 余談ですが、新型コロナワクチンを速やかに接種すべきは後期高齢者です。これはアドバイザリーボードが示した資料の致死率を確認すれば一目瞭然でしょう。

年齢別ワクチン接種回数と致死率

 ワクチン接種は強制ではありませんから、後期高齢者本人が難色を示すなら接種は見送るべきです。

 ただし、そのような後期高齢者の命を守るために “低リスクである人” や “ワクチン接種で低リスクになった人” に行動の制限を求める必要はありません。他の疾病と同様に『医療保険制度による自己負担』にすべき時が来たと言えるでしょう。

 

 今後もマスコミや一部の医療従事者は「1症例」を “殊更に強調” して新型コロナの恐怖を煽り続けると予想されます。それを容認するなら「ワクチン接種による副反応が疑われる1症例で騒ぐこと」も認めなければなりません。

 統計の確認を怠って扇動をする医師も存在するのです。エビデンスを提示することなく、偏った主観で専門家のふりをする人物には注意が必要です。