西浦氏が「2021年8月末に入院患者数は3000人超、重症者は40代と50代が中心」との試算を発表

 7月21日に行われた第44回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで京都大学の西浦博教授が新たな試算を発表しています。

 東京都での1日の新規感染者や入院患者数が3000人を超えるとの内容ですが、重症者数の項目を西浦氏自身が無視して「医療逼迫が起きる」との誤解を招くツイートをしていることが大きな問題と言わざるを得ないでしょう。

 

西浦氏が発表した資料の内容

 西浦氏が発表した資料は7月21日に行われた第44回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料3-3 (PDF) です。

西浦氏の発表資料(2021年7月21日)

 現状より実行再生産数 R が 10% 減少しても、患者・入院患者・重症者は増え続けると言及。この発表資料を基に報じた NHK のニュースに西浦氏は以下のツイートを行っています。

 ただ、NHK のニュースは重症者数には言及していません。したがって、西浦氏の立場は『陽性者数至上主義』に基づくゼロコロナ派と結論付けなければならない状況です。

 

資料が発表された現段階で判明済みの問題点

都内の重症者数が100名なら、今年1月の第3波よりも低い

 西浦氏の予測で “泣き所” となっているのは「重症者数」です。西浦氏は新型コロナの恐怖を煽ろうとしていますが、死に直結するリスクが高い重症者数の予測は「都の基準で8月末に100人」です。

 今年1月下旬の都の基準による重症者数は「140人超」でしたから、現在の倍以上に相当します。

東京都の重症者数(週平均)の推移

 要するに、恐怖を煽る効果が高い死者数や重症者数は低水準なのです。この事実が明るみに出ることは都合が悪いから「陽性者数」や「入院患者数」で煽ろうとしているのでしょう。

 その結果、経済や社会に悪影響が生じるのですから、厚労省が未だに予測を発表する場を提供するなどの “お墨付き” を与えることは止めるべきです。

 

『40・50代の重症者数』が『60代以上の重症者数』を上回る見込みは少ない

 次に、西浦氏が予測する「40・50代の重症者数が急増する」の予測もかなりの確率で外れることになると考えられます。

西浦氏が行った都内の重症者数予測(2021年7月21日)

 西浦氏は「『60代以上の重症者数』は『40代と50代の重症者数の合算値』よりも少ない」との見立てを出していますが、予測を出した7月21日の時点で差異が生じています。

 都の重症者数でトップは60代。70代と50代は2番手、40代は4番手だからです。

 新規重症者数なら40代や50代が最多になる可能性はあるでしょう。しかし、都が発表しているのは「入院中の重症者数」ですから、短期間で回復してしまう40代や50代がその項目で高齢者を上回るとは考えにくいことが理由です。

 

 西浦氏は「みんなで(新型コロナの感染拡大を)止めよう」とのツイートをしていますが、みんなで止めるべきは『陽性者数至上主義』です。

 経済活動によって生み出された血税や保険料に依存する医療関係者や高齢者のために「社会全体幸福」を放棄することこそ大問題なのではないでしょうか。