新型コロナワクチン4200万回分の在庫処分のため「高齢者向け先行接種」と「無料」を続ける厚労省
厚生労働省が高齢者を対象に2023年5月から8月まで新型コロナワクチンの先行接種を行う方針であると読売新聞が報じています。
新型コロナワクチンは日本国内に2023年2月末の時点で約4200万回分が在庫として存在しているため、在庫処分を進めるために「無料接種」が継続されたのでしょう。
メンツを守りたい厚労省にとっては妥当なのかも知れませんが、医薬品は年間に2兆円の貿易赤字を計上し続けている分野なのです。新型コロナワクチンの輸入で貿易赤字が拡大した事実を無視することは問題と言わざるを得ません。
2023年2月末の時点で4200万回分の新型コロナワクチンが在庫として残る
2023年2月に接種された新型コロナワクチンは約300万回分。先月は約600万回でしたから半分に落ち込んだことになります。
しかし、厚労省は『令和4年秋開始接種』で新型コロナワクチン・9800万回分を購入済みであり、在庫として約4200万回分が残っている状況です。
現役世代や子供たちに新型コロナワクチン接種を呼びかけても行動を起こしてくれないでしょう。だから、現実的な在庫処分策として『接種率 75% で2700万回分を消費した高齢者への先行接種』を採ったと考えられます。(ワクチン接種状況)
医薬品は年2兆円の貿易赤字を出す不採算分野
厚労省は「新型コロナワクチンの無料接種」を続けようしていますが、問題なのは「医薬品が年間に2兆円の貿易赤字を出す不採算部門」であることです。
しかも、医薬品による貿易赤字額は新型コロナワクチンの購入が本格化した2021年春以降に急増しています。(財務省・貿易統計より)
- 2020年(確定)
- 医薬品の輸出額: 8360億円
- 医薬品の輸入額: 3兆1973億円
- 2021年(確定)
- 医薬品の輸出額: 8611億円
- 医薬品の輸入額: 4兆2085億円
- 2022年(確速)
- 医薬品の輸出額: 1兆1428億円
- 医薬品の輸入額: 5兆7014億円
2020年は2兆円強だった医薬品の貿易赤字が2021年には3兆5000億円にまで増加。2022年には4兆6000億円にまで拡大しました。
医薬品を購入する原資は「現役世代が納税した税金」か「現役世代が負担する医療保険費」のどちらかです。負担者への恩恵がないにも関わらず、国富を海外に流出するだけの政策を継続しようとする厚労省の姿勢は厳しい批判にさらされなければならないでしょう。
国民医療費の 20% 強(=約9兆円)が『医薬品』に費やされている
財務省の財政制度分科会が公表している資料(PDF)を確認しますと、2019年の国民医療費は約44兆4000億円。

費用構造では医療費全体の 21.3% が医薬品に費やされていることから、医薬品の(保険制度を用いた)購入額は年9兆4000億円と見積もられます。
ただ、2019年は約3兆円分の医薬品を輸入していることが貿易統計(PDF)で示されています。つまり、主に高齢者への医療を行う過程で国富が日本国外に流出している現状があるのです。
しかも、医薬品の輸入額は2022年に5兆7014億円と2倍近くにまで膨れ上がりました。
「新型コロナワクチン無料」や「高額なコロナ治療薬は無料」を続けると医薬品による貿易赤字は増加したままです。この問題を指摘し、現役世代が創出した富が国外に流出することを止めることが政治の責務と言えるでしょう。
参考:(ファイザー製の新型コロナワクチンを輸入元である)EU から輸入した医薬品の金額
日本で使用されているファイザー製の新型コロナワクチンはベルギー・ブリュッセルから空輸されており、(ベルギーを含む)EU からの医薬品の輸入金額は以下のとおりです。
輸入額は(コロナ前だと)月額1500億円ほどで推移していたのが2021年春に月額2000億円弱にまで増加。現役世代への接種が完了する2021年初秋まで月額2000億円を超える水準となりました。
また、オミクロン株への変異により2022年1月からは「3回目接種」が始まったことに合わせて『EU からの医薬品の輸入額』も増加。
2022年夏の「4回目接種」に加え、オミクロン株対応ワクチンの接種が本格化する「令和4年秋開始接種」に向けたタイミングでの輸入額は月額3000億円超にまで達しています。
ワクチン代を負担しているのは接種による恩恵を得る高齢者(や医療従事者)ではありません。受益者負担の原則を無視したままでは現役世代や将来世代が経済的に困窮し、少子化が進むのは必然と言わざるを得ないのではないでしょうか。