2020年と同水準の患者数で「インフル流行」と社説で煽る読売新聞

  読売新聞が2月21日付の社説で「新型コロナの感染拡大で鳴りを潜めていた季節性インフルエンザが3年ぶりに流行し始めている」と主張しています。

  読売新聞の社説で主張されている内容は “一部の医療関係者” による煽りと同じです。

  インフルエンザの過去の流行状況との比較はありませんし、『新型コロナと同じ感染対策』を推奨するのであれば「新型コロナの患者数が減少する一方でインフルエンザの患者数が増えていること」の説明が付きません。

  これらの矛盾を指摘することが報道機関に期待されている役割と言えるでしょう。


新型コロナの新規陽性者数 vs 季節性インフルの定点あたり報告数

  厚労省が発表している新型コロナの新規陽性者数季節性インフルエンザの定点あたり報告数を “5倍” した値』を週ごとに比較すると以下のようになります。

  季節性インフルエンザの『定点あたりの報告数』を5倍にする理由は「政府がインフルエンザの年間患者数とする約1000万人に近い数値になるから」です。

  この厚労省が発表した数値を基に読売新聞が2月21日付で報じた社説での主張内容を精査して行くことにしましょう。社説の主張内容は『感染症の専門家が提言する内容』に合致していますが、そこに根本的な間違いがあることが問題なのです。


2020年にインフルエンザの流行はあった

  まず、読売新聞の社説で問題なのは「2020年以降はインフルエンザの流行がなかった」の部分です。

  コロナ禍の感染対策などにより、2020年以降、インフルエンザの流行はなかった。

  2020年3月まで季節性インフルエンザの流行はありました。2020年3月・4月における季節性インフルエンザの定点あたりの報告数は前年と同水準であったと報告されているからです。

  この時期はワクチン接種・三密回避・マスク着用などの感染対策は採られていません。

  にも関わらず、2019/20 シーズンの季節性インフルエンザの患者数は「2020年の年始に突如として消失した」のです。そのような状況を専門家やマスコミは何も問題視しなかったのです。

  その当時よりも少ないシーズンの累計患者数が報告された現状で「インフルエンザが感染拡大している」と主張することは煽り以外の何物でもないでしょう。


「基本的な感染対策は感染拡大の抑制に効果がある」との『神話』を未だに盲信

  また、未だに「基本的な感染対策は感染拡大の抑制に効果がある」と信じていることも大きな問題です。

  一人ひとりの基本的な感染対策が欠かせない。人混みをできるだけ避けることやマスクの着用、こまめな手洗いのほか、室内の換気や加湿は有効な予防策だ。

  「季節性インフルエンザの流行は『基本的な感染対策』で抑制できているが新型コロナはそれでも感染拡大が起きているので怖い」との煽りがありましたが、2023年に入ってからは構図が逆転しています。

  感染症対策の専門家やマスコミは失念しているでしょうが、『基本的な感染対策』が採られていた2021年に RS ウイルスの感染大爆発が起きたこともありました。(グラフの数値は東京都のもの)

  2020年に報告数が途絶えた『RS ウイルス』は翌2021年に “免疫負債” を一括返済する水準で感染者を計上しました。しかし、2022年は平年の報告者数を描いています。

  2021年と2022年に採られた『基本的な感染対策』に大差はありません。しかし、飛沫や接触によって感染が拡大する『RS ウイルス』の感染報告数には大きな違いがあるのです。

  この理由を(科学的根拠に基づいて)説明しようとしない専門家や医療関係者による 「新型コロナ対策継続の呼びかけ」は業界への我田引水でしかありません。こうした指摘をしないマスコミもコロナ対策禍を引き起こした共犯者として糾弾されるべきなのではないでしょうか。