日経が「コロナ前回復、米に1年遅れ」と報じた1ヶ月後に「感染が制御できなきゃ経済なんて回らない」とツイートする知念実希人氏

  小説家で医師の知念実希人氏が「新型コロナの感染を制御できないと経済は回らない」と主張するツイートを行なっています。

  この知念氏のツイートは事実に反する主張です。知念氏が該当のツイートをする “1ヶ月前” に日経新聞が「コロナ前の GDP 水準に戻ったアメリカ経済と比較して日本経済は1年遅れ」と記事にしているからです。

  欧米は日本よりも新型コロナの感染制御はできていないのですから、知念氏の主張は「誤り」と結論付けざるを得ないでしょう。


アメリカやヨーロッパは日本よりも経済が “2021年の時点” から回っている

  日経新聞は5月19日付の記事で「日本経済(= GDP)はコロナ後の回復スピードがアメリカよりも1年遅れている」と報じています。

  アメリカは2021年第1四半期に『コロナ前(の2019年第4四半期)の水準』にまで回復。ユーロ圏でも2021年第3四半期には『コロナ前の水準』となっています。

  その一方で日本は2022年第1四半期まで時間を要しました。

  知念氏の理論では「アメリカは2021年の初夏以降、ユーロ圏では2021年の秋以降は感染制御がされていた」ことになります。しかし、それらの国々でもデルタ株やオミクロン株による感染拡大は発生していたのです。


アメリカやユーロ圏での『人口あたりの新規陽性者数』は日本を上回る

  アメリカや EU での『人口あたりの新型コロナ新規陽性者数』の推移は以下のとおりです。

  アメリカや EU では日本よりも感染制御ができていませんが経済は回っています。知念氏がこの事実を知らないなら単なる無知ですし、知っているなら詐欺師との批判は免れないでしょう。


「若者や子供たちを犠牲にして高齢者を風邪から遠ざけた」のが日本のコロナ対策

  厚労省が発表している人口動態統計から日本の年間死者数をグラフ化したものが以下です。“未知のウイルスだった新型コロナ” が猛威をふった2020年の死者数は前年割れだったのです。

  死者の大部分は80歳以上の後期高齢者であり、新型コロナによる死者も同様の割合でした。

  しかも新型コロナに費やされた対策費は『応益負担』ではありません。新型コロナで重症化しない現役世代と子供たちに『追加負担』をさせたのです。しかも追加負担を強いられた若年層では自殺者数が増加する弊害も生じました。

  『人口あたりの新型コロナ陽性者数』と『各国の GDP』を比較できない人物が提言する『コロナ対策』は「感染症対策最優先」になることは避けられません。

  コロナ対策の受益者である高齢者や医療業界に『応益負担』を求めるべきです。それをしないから知念氏のような主張が後を絶たないのだと考えられます。