人口動態統計速報(2022年11月): 年間出生数80万人割れ・年間死者数155万人前後の異常さが浮き彫りとなる

  厚生労働省が人口動態統計・速報の2022年11月分を発表していましたので紹介いたします。

  一方で2022年11月の死者数は速報値で13万4336人でした。こちらは前年同月比で +9.4% と大幅増を記録しているのですが、より深刻なのは2022年8月から4ヶ月連続で『推計・高位』を上回る死者数を計上していることでしょう。

  2022年下半期の人口動態は明らかに「異常」を示しているからです。


出生数(2022年11月・人口動態統計速報)

  コロナ対策禍で『年間出生数80万人割れの現実』が突き付けられたことで政治家から「少子化対策の必要性」を訴える声が出始めました。しかし、これは統一地方選に向けたアピールに終わるでしょう。

  2022年は年明けから『推計・低位』の出生数で推移していたにも関わらず、与野党の首脳部は全く気に留めていなかったからです。

  したがって、今後も『高齢者向けの福祉政策』が最重要視される状況は続くことでしょう。“要介護認定5の寝たきり高齢者” の方が年間出生数を上回る未来はそう遠くはないと思われます。

年間出生数と婚姻数の推移

  なお、2022年の年間出生数は80万人を下回ることでしょう。

  2021年の年間出生数は約81万2000人でしたが、2022年は概数が発表されている8月時点で「前年同期比 -5.0%」、速報値が発表されている11月までの累計でも「前年同期比 -5.0%」となっています。

表: 日本での累計出生数(2022年)
概数速報値
1月〜8月 50万4483人
(前年同期比: -5.0%)
52万7111人
(前年同期比: -5.0%)
1月〜11月 2023年4月に
発表の予定
73万5572人
(前年同期比: -5.0%)

  2022年の年間出生数は速報値では80万人超えの可能性が残っているものの、概数値や確定値では約78万人ほどにまで落ち込むと予想されるからです。

  少子化の進行は『(若者の出会いを含めた行動を制限する)コロナ対策』を講じた時点で予測されていた弊害の1つであり、コロナ対策を費用対効果を総括しなければ同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。


死者数(2022年11月・人口動態統計速報)

  『少子化の加速』とは別の意味で問題視すべきなのは「2022年8月以降の死者数が “4ヶ月連続で” 『推計・高位』を上回っている」ことです。

  2022年11月の死者数は13万4000人。『推計・高位』だと約13万人の想定でした。

  月ごとの死者数が突発的に『推計・高位』を超えることはあります。しかし、その状態が「4ヶ月連続」となるのは異常事態と言わざるを得ません。

  原因の追究に当たることが厚労省や専門家の責務になるでしょう。

推計・中位の死者数との差

  一部の医師は「オミクロン株の感染拡大」を原因にしたがるでしょう。

  しかし、現時点で『推計・中位』を超過した死者数(=10万人)を「未計上の新型コロナによる死者」として処理することは無理があります。“死因が新型コロナでない死亡者” でさえ『コロナ死』とカウントしているのが実情だからです。

  したがって、死者数が激増した最大の要因は「コロナ対策禍で高齢者の体力が落ちたこと」でしょう。体育の授業がある小・中学生の体力測定が過去最低を記録しており、「高齢者の体力は落ちていない」と考える方が不自然だからです。

  “体力の落ちた高齢者” が増えれば、老衰による死者も必然的に増えるでしょう。また、副反応が生じる新型コロナワクチンを積極的に接種したことも少なからず影響していることも否定できない状況にあります。

年間死者数

  速報値の段階で2022年1月から11月までの累計死者数は142万人に達しています。

  2022年の年間死者数は12月を残した時点で「2021年の年間死者数(144万人)」とほぼ同数を記録したのです。これは異常事態と言わざるを得ないでしょう。

  2022年12月の死者数が『推計・中位』と同程度でも13万人超の死亡となるため、年間の死者数は(『推計・高位』を超える)155万人に達することになるからです。

  ただ、死者数がどれだけ増加しても「年間80兆円を超える社会保障費を受領している高齢者の死者が増えただけ」なら世間は問題視しないでしょう。社会保険制度の担い手側が限界に達していることが理由です。