オミクロン株対応ワクチン、2023年1月の接種数は約600万回に留まり4700万回分の在庫が残る

  厚生労働省が2022年秋から始まったオミクロン株対応ワクチンの接種状況を2023年1月30日分まで反映していたので紹介いたします。

  2023年1月分での接種回数は567.6万回でした。先月の月別接種回数が2000万回だったことを踏まえると「大減速」と言わざるを得ないでしょう。

  2023年2月を迎えた時点でのオミクロン株対応ワクチンの在庫は4700万回分となっており、厚労省が「ワクチンの無償接種期間を延長」したところで接種が進む可能性は低いと言わざるを得ません。


接種回数と在庫数の推移

  オミクロン株対応ワクチンの接種が始まった2022年11月と12月は「月に1900万回前後の接種」がありましたが、年明けからは接種が1日あたり30万回ほどにまで大減速。4700万回分の在庫を抱える状況となっています。

  このままでは「予算の無駄遣い」との批判は避けられないため、厚労省が「ワクチン無料接種の延長」をして “在庫処分” に走るのは予想された行動だと言えるでしょう。

  ただ、高齢者以外はワクチン接種に消極的です。現実的には3500万回分以上のオミクロン株対応ワクチンが無駄になる可能性が高いと思われます。


年齢階級別のオミクロン株対応ワクチンの接種状況

  2023年1月にオミクロン株対応ワクチンを最も接種したのは70代(168万回)と80代(102万回)でした。※ 60代は合計で148万回

  20代から50代の現役世代は各年代ともに800万人ほどの “オミクロン株対応ワクチンの未接種者” がいるのですが、これらの年齢層での接種の進捗は芳しくありません。

  約1000万人の高齢者が「オミクロン株対応ワクチンが未接種」なのですが、高齢者の接種ですら伸び悩みが見えるのです。新型コロナのリスクが低い若者(や勤労世代)の間でワクチン接種が進む可能性は期待できないでしょう。


新型コロナワクチンの接種率(2023年1月30日時点)

  70代や80代の 70% 以上がオミクロン株対応ワクチンを接種していますが、第8波で医療機関を占拠しているのは70代以上の後期高齢者です。

  「若者など現役世代の負担でワクチン接種を済ませた高齢者が『コロナ病床』を埋めて医療逼迫が起きているので感染対策を徹底すべき」との主張を “社会保障の担い手側である勤労世代” が受け入れるメリットはありません。

  この現実を理解できない一部の医療従事者が「的外れな言動」を繰り返し、その結果として医療業界への風当たりが強くなるのです。

  今後は医療業界が “サンドバック” になることは避けられないでしょう。不要不急のコロナ対策を現役世代に求めた代償を支払うよう迫られると考えられるからです。