“内科を持たない医療機関” を無視して「インフルですら約6万箇所でしか診れない」と業界の肩を持つ伊佐進一・厚労副大臣

  公明党の伊佐進一・厚労副大臣が「新型コロナが5類になればどの医療機関でも診てくれるは誤解。全国11万の医療機関でインフルエンザを診れるのは6万2000箇所」とツイートしています。

  伊佐議員の主張は完全なミスリードと言わざるを得ません。

  伊佐議員が持ち出した医療機関の総数には外科・皮膚科・眼科など “内科を専門外とする医療機関” も含まれているからです。“内科の看板を掲げる6万4000箇所の一般診療所” で「発熱外来が4万2000にすぎない意味」を理解する必要があるでしょう。


内科の看板を掲げる医療機関は全国に7万箇所

  まず、全国にある医療機関の数は厚労省が発表している『医療施設調査・病院報告』に記されています。ここでは2020年の確定数報告の数値(PDF)を紹介します。

  • 医療施設数: 17万8724(2020年)
    • 一般病院: 7179
      • 内科: 6640 (92.5%)
    • 一般診療所: 10万2612
      • 内科: 6万4143 (62.5%)
    • 歯科診療所: 6万7874

  風邪の症状を覚えた患者は『内科』を受診しますが、一般病院の内科は6640箇所。一般診療所の内科は全国に6万4143箇所存在します。

  伊佐議員のツイートした『医療機関』が「一般診療所」のことを指すと仮定すると、「内科を持つ一般診療所(6万4000箇所)のほぼすべてがインフルエンザを診察している」ことになります。

  ところが、新型コロナの疑いがある患者を診る発熱外来は4万2000箇所。これは『内科を持つ一般診療所』の 66% に留まる数値です。

  5類に変更されることで “インフルエンザの患者を診れる医療機関” には「新型コロナの患者を診なければならない応召義務」が生じます。この点に触れない伊佐議員の姿勢は問題視されるべきでしょう。


内科を持つ一般診療所は「5類となった新型コロナの疑いのある患者」を診なければならない義務が生じる

  医師には医師法第19条で応召義務が課されています。

第十九条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

  応召義務は『正当な理由』があれば免責されると厚労省が通達(PDF)しているのですが、“5類となった新型コロナに感染の疑いのある患者” を『内科の看板を掲げる一般診療所』が診察を拒否すれば応召義務に反することになります。

  1. 医師は医師法第19条を根拠とする応召義務を負う
  2. 以下の正当な理由であれば、応召義務は免責される
    • 過去の迷惑行為
    • 医療費の不払い
    • 専門外の患者
    • 1類・2類感染症など特定の医療機関で対応すべきとされている感染症に罹患または罹患疑いの患者など

  現在の法律上の分類では「新型コロナの疑いがあるから」との理由で(発熱症状のあるインフルエンザの患者の)診察を拒絶しても義務に違反しないのです。

  新型コロナの重症化率や致死率が「季節性インフルエンザ未満」であることは厚労省のアドバイザリーボードですら認めたことです。インフルエンザと同様にどの医療機関でも診てもらえるようになることは国民の利益にしかならないでしょう。


医師会からの献金を得ている伊佐進一氏は医療業界の肩を持つ理由がある

  伊佐氏や後援者が良く解るように実名を出しましょう。2021年に『伊佐進一後援会(PDF)』は大阪府医師政治連盟・守口支部から30万円の政治献金を受けました。

  献金をした博多尚文氏は大阪府医師政治連盟の役員を務め、守口市医師会の会長でもあります。

  博多尚文氏の『はかたクリニック』が現時点で新型コロナ感染の疑いがある患者の診察を拒否しても応召義務には該当しません。

  しかし、関西医大『はたかクリニック』は内科も診療科と登録されているため、新型コロナの法的分類が5類に変更された後に “新型コロナの疑いがある患者” の診察を拒めば応召義務に反することになるのです。

  新型コロナを診たくない一部に医師に対する過剰な配慮は問題でしょう。余計な憶測を招く原因なのですから、伊佐氏や博多氏など立派な肩書きを有する立場の人間が「コロナ対策禍を煽って私腹を肥す輩は論外」と公の場で一括して欲しいところです。