人口動態統計速報(2022年7月): 出生数は推計・低位、死者数は推計・中位を超える水準で今月も推移する

  厚生労働省が人口動態統計・速報の2022年7月分を発表していましたので紹介いたします。

  2022年7月の出生数は速報値で6万8096人前年同月より6000人強の減少を記録しました。概数値で『推計・低位』に落ち込むことは確定的であり、深刻な状況となっています。

  一方、死者数は11万7568人でした。前年同月よりも約5000人多いのですが、2020年に「高齢化の中で前年割れ」を記録したマイナス分を返済しているに過ぎません。

  したがって、コロナ対策の弊害で「出生数が『推計・低位』の水準で推移して少子化が進行している現状」が最も由々しき問題と言わざるを得ないでしょう。


出生数(2022年7月・人口動態統計速報)

  出生数の速報値は「概数値よりも数千人ほど多い」ため、2022年7月の出生数が速報値で6万8000人だったということは「概数値(≒確定値)では6万5000人強」となる可能性が大です。

  この数値は『推計・低位』で予想されている出生数と “ほぼ同数” であり、2022年1月以降の出生数は『推計・低位』で推移していることがグラフでは一目瞭然となっています。

  「状況は極めて深刻」と言わざるを得ないでしょう。

2022年1月から7月の累計出生数

  なお、今年を含む過去4年の1月から7月までの累計出生数は以下のとおりです。

  2021年は『推計・低位』よりも約2万人ほど多い水準でしたが、今年・2022年は速報値による水増し分を5月から7月まで使っても『推計・低位』よりも約1万人ほど多い累計44万人に留まっています。

  コロナ対策で「家族以外との接触を断て」と “要請” した弊害が少子化という形で如実に現れたことは否定できません。

  「少子化を加速させてでも現役世代や将来世代の負担で生活する高齢者や医療制度を守る価値があったのか」をシビアに査定しなければならないでしょう。現状では莫大な負債だけが残されているからです。


死者数(2022年7月・人口動態統計速報)

  2022年7月の死者数は速報値で約11万8000人となりました。この数値は前年同月よりも5400人ほど多い数値です。

  ただ、この数値は『推計・中位』と『推計・高位』で予想された死者数の中間であり、ニュース・バリューはあまりありません。

  2020年に『推計死者数の前年割れ』が発生したことによる “超過生存” の清算が「先月に引き続いて起きている」と見なすことができるからです。

2022年1月から7月の累計死者数

  2020年の1月から7月に報告された累計死者数は「『推計・中位』よりも約3万人ほど少ない水準」でした。

  2021年の同時期に報告された累計死者数は「『推計・中位』とほぼ同数」であり、2022年1月から7月に「『推計・中位』よりも約3万人多い累計死者数が報告」されたとしても帳尻合わせが行われたに過ぎません。

  その間に『コロナ対策』の名目で膨大な負担を現役世代や(子供たちなどの)将来世代が背負わされることになったのです。



  高齢者優遇のシルバー・デモクラシーが幅を利かせたままなのですから、少子高齢化が加速した現状は今後も続くことになるでしょう。

  高齢者に措置を施した数に応じて(民間で働く労働者からの所得移転の形で)報酬を得ている医療業界や介護業界は『現行の社会保障制度』という利権を手放すことに抵抗するのは火を見るよりも明らかだからです。

  経済を軽視したツケが回ってくるのはこれからが本番になるはずです。