感染研・鈴木基センター長、独自解釈した特措法の趣旨を根拠に「私権制限の検討を」と基本的対処方針分科会で主張

  2022年11月24日に行われた第30回・基本的対処方針分科会の議事録(PDF)が公表されました。

  この会合で国立感染研の鈴木基センター長が特措法の趣旨を曲解自ら曲解した趣旨を根拠に法の条文を超えた私権制限を政府に専門家の立場で要請する暴挙に出ています。

  法治国家として重大案件であり、本人に再説明を要求すべきでしょう。


鈴木基氏(国立感染症研究所感染症疫学センター長)による問題発言

  鈴木氏の問題発言があったのは2022年11月24日に行われた第30回・基本的対処方針分科会です。

  基本的対処方針分科会では「新型コロナウイルス感染症への基本的対処方針」が話し合われており、対処方針の変更に対して鈴木氏は以下のように見解を述べました。

○鈴木委員
  対処方針の内容に異議ありません。他委員から、インフルエンザの致死率と比較して、対策本部を立ち上げるかどうかを判断すべきだという意見がございました。しかし、法の条文を盾に議論すべき内容ではなく、法の趣旨に照らした議論をすべきだと思います。特措法は、「感染者・接触者以外の人に対して社会的制限をかける正当性意義がある疾患か」という点で議論すべきだと思います。

  鈴木氏の発言で問題なのは「特措法の『条文』ではなく『趣旨』に照らした議論をすべき」との暴論を展開したことです。「法律を無視して私権制限の検討をすべき」と訴えている時点で大問題と言わざるを得ないでしょう。


特措法は「季節性インフルエンザよりも国民全体に重大な影響を及ぼす疾病」を念頭においたもの

  鈴木基氏は新型コロナ対策の根拠となっている『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の目的を確認しなければなりません。目的は第1条に記されています。

(目的)
第一条
 この法律は、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、(以下略)

  法律の『趣旨』は『条文』で表現されており、行間を独自解釈することは曲解でしかありません。特措法が「季節性インフルエンザ以上の脅威を持つ感染症」を念頭に書かれていることは明白です。

  その根拠となるのは特措法第21条にもあります。

(政府対策本部の廃止)
第二十一条
 政府対策本部は、第十五条第一項に規定する新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合の病状の程度に比しておおむね同程度以下であることが明らかとなったとき、又は感染症法第四十四条の二第三項の規定による公表がされ、若しくは感染症法第六条第八項若しくは第五十三条第一項の政令が廃止されたときに、廃止されるものとする。

  要するに、新型コロナウイルスに感染した際の症状が季節性インフルエンザとおおむね同程度以下になった時に(基本的対処方針分科会などの)対策本部は廃止される必要があると法律に明記されているのです。

  法の『条文』に従うと、基本的対処方針分科会そのものが廃止となります。だから、鈴木氏は「特措法の『条文』ではなく『趣旨』に基づく対策の議論をすべき」と法の趣旨を曲解して抵抗をしているのでしょう。


厚労省やアドバイザリーボードが重症化率の数字を最新に更新しない理由も同じ

  また、第30回・基本的対処方針分科会では大竹文雄委員などから「新型コロナの重症化率や致死率を最新版(注釈:第7波のもの)に置き換えるべき」と指摘がありましたが、政府は採択を見送ったことも記されています。

  これは第7波で「新型コロナの重症化率や致死率が季節性インフルエンザよりも低い」と明らかになったにも関わらず、第6波までの『古いデータ』を根拠に新型コロナ対策の継続したに他なりません。

  第7波での重症化率や致死率が反映された時点で『新型コロナウイルス感染症への対策本部』は存在する法的根拠を喪失します。そうなるとコロナ対策を主導している政治家・官僚・医療関係者は困ったことになるから抵抗しているのでしょう。



  『季節性インフルエンザよりも重症化率や致死率が低い感染症』に対応することで特別ボーナスが出るのです。恩恵を得ている医療業界やキックバックを受ける政治家や専門家は「コロナ対策の継続」を訴えることでしょう。

  「令和の医療」は「昭和の軍部」と同様に “暴走” して国家に甚大な影響を与えているのです。シビリアン・コントロールを医療業界にも設けて機能させることが喫緊の課題なのではないでしょうか。