人口動態統計速報(2022年9月): 先月と同様に出生数は『推計・中位』に近い水準で、死者数は『推計・高位』を超える

  厚生労働省が人口動態統計・速報の2022年9月分を発表していましたので紹介いたします。

  出生数は速報値で7万2525人と前年同月より -3.9% でした。『推計・中位』に近い水準ではあるものの、年間の出生数が80万人を下回ることは確定的な状況になっています。

  一方の死者数は速報値で12万7040人。前年同月比 +9.8% を記録し、先月に引き続いて『推計・高位』を超える水準となりました。


出生数(2022年9月・人口動態統計速報)

  出生数は速報値では少し上乗せされてますが、それでも2022年8月と9月の出生数は「7月までの出生数の水準と比較して多い」ことは事実でしょう。

  7月までは『推計・低位』の水準で推移していた出生数が8月以降は『出生・中位』に近い水準にまで回復したからです。ただ、それでも少子化の進行を食い止められておらず「焼け石に水」となっています。

2022年1月から9月の累計出生数

  2022年の年間出生数は『推計・低位』で75万人です。

  2022年1月から9月までの累計出生数は58万2000人。『推計・低位』の56万1000人を約2万人ほど上回っているだけであり、年間出生数が80万人を下回るのは確定的と言わざるを得ません。

  『推計・低位』で予想された年間出生数を1年遅れで追っている現状であり、「少子化の進行は極めて深刻な状態にある」と言わなければならないでしょう。


死者数(2022年9月・人口動態統計速報)

  2022年9月の死者数は『推計・高位』で予想された11万7000人を上回る12万7040人でした。

  一部の医療関係者などが死者数が増加した理由を「新型コロナの第7波」と主張していますが、これは「新型コロナの重症化率や致死率は季節性インフルエンザ未満」との財務省などによる発表と矛盾します。

  したがって、2ヶ月連続で死者数が『推計・高位』を超えた理由を「新型コロナの感染拡大 “だけ” に求めるのは不適切」と言わざるを得ないでしょう。

2022年1月から9月の累計死者数

  2ヶ月連続で『推計・高位』を上回る死者数を記録しましたが、1月から9月までの累計死者数では『推計・高位』よりも約1万人ほど多い水準です。

  日本では高齢化で高齢者の絶対数が増えており、その影響で死者数は毎年2万人ずつ増えるとの将来推計があります。ところが、2020年はその推計に反する形で「前年割れ」を記録しました。

  “超過生存” を清算する死者数が上乗せされることは想定内ですし、清算が発生した年に「死者数の前借り」が起きる可能性もあります。

  したがって、勤労世代や子供たちの健康が阻害されていないのであれば『(高齢者が中心である)死者数』に一喜一憂する必要はないでしょう。