イスラエル保健省が2021年9月に発表した『新型コロナに感染した子供の10%に後遺症』の内容

 「イスラエルの保健省が新型コロナに感染した子供の 10% に何らかの後遺症」と発表したとロイター通信が報じています。

 このニュースを使って「子供にもワクチン接種をすべき」と主張するワクチン接種推進派が日本でも現れることでしょう。ただ、後遺症の内容や調査方法については把握した上で判断をする必要があります。

 

ロイター通信が報じたニュースの元ネタ

 ロイター通信が報じたニュースの元ネタはイスラエル保健省が9月13日付のプレスリリースで発表されたものです。

  • 調査期間: 2021年5月31日〜6月13日
  • 調査対象: covid-19 から回復した3歳から18歳の子供
  • 調査人数: 13834人
  • 調査方法: 該当者の親への電話調査

 子供の 11.2% が新型コロナからの回復後に “何らかの症状” を経験し、これが「後遺症」という扱いでニュースになってます。

 また、調査方法は「新型コロナ罹患歴を有する子供の親に対する電話調査」ですから、医学的な診察に基づく症状ではないことに留意が必要です。(自己申告と思われるため、別の理由が有力視されても「新型コロナの後遺症」と見なされる)

 

イスラエルの子供たちから報告された症例とその割合

 新型コロナに罹患した子供の親から報告された症状とその割合は下表のとおりです。

3〜6歳
【n=2227】
6〜12歳
【n=5574】
12〜18歳
【n=6033】
3〜18歳
【n=13834】
1.7%
【n=37】
1.0%
【n=58】
0.7%
【n=45】
1.0%
【n=140】
息切れ・
呼吸困難
0.5%
【n=12】
0.6%
【n=36】
1.0%
【n=61】
0.8%
【n=109】
嘔吐 0.3%
【n=6】
0.4%
【n=21】
0.2%
【n=14】
0.3%
【n=41】
下痢 0.3$
【n=7】
0.4%
【n=23】
0.1%
【n=6】
0.3%
【n=36】
脱力感 1.2%
【n=26】
1.5%
【n=85】
3.2%
【n=193】
2.2%
【n=304】
頭痛 0.6%
【n=14】
1.8%
【n=103】
1.8%
【n=111】
1.6%
【n=228】
睡眠障害 0.2%
【n=5】
0.4%
【n=23】
0.4%
【n=23】
0.4%
【n=51】
不安感 0.4%
【n=8】
0.4%
【n=21】
0.2%
【n=14】
0.3%
【n=43】
3〜6歳
【n=2227】
6〜12歳
【n=5574】
12〜18歳
【n=6033】
3〜18歳
【n=13834】
味覚・嗅覚
障害
0.1%
【n=3】
0.4%
【n=25】
2.4%
【n=146】
1.3%
【n=174】
活動低下 1.0%
【n=22】
1.1%
【n=59】
2.6%
【n=155】
1.7%
【n=236】
発疹
皮膚トラブル
0.4%
【n=8】
0.6%
【n=33】
0.3%
【n=21】
0.4%
【n=62】
高熱 1.2%
【n=27】
0.6%
【n=33】
0.3%
【n=16】
0.5%
【n=76】
腹痛 0.6%
【n=14】
1.0%
【n=57】
0.8%
【n=47】
0.9%
【n=118】
筋肉痛 0.4%
【n=10】
1.3%
【n=73】
1.5%
【n=89】
1.2%
【n=172】
その他 3.2%
【n=72】
3.4%
【n=189】
4.9%
【n=294】
4.0%
【n=555】
全体 8.4%
【n=188】
9.3%
【n=520】
13.9%
【n=838】
11.2%
【n=1546】

 3歳から18歳の子供たちで “何らかの症状” を訴えた割合は 11.2%。ただ、『その他』の項目で 4% が上乗せされており、実際の数値は「10% を割り込む」ことが有力です。

 ワクチン接種の超積極国であるイスラエルの新型コロナ感染状況は日本よりもかなり深刻です。

 したがって、イスラエルの状況をそのまま日本に置き換えることは慎まなければなりません。3回目のワクチン接種が高齢者を中心に完了しても、1日の新規陽性者は1万人を超えている状況だからです。

 

 後遺症と言われる症状は時間の経過とともに解消されることがほとんです。イスラエル保健省が発表した今回の調査報告でもそう言及されています。

 不要な心配事を子供たちにさせる意味はありませんし、新型コロナワクチン接種による副反応と同じで「関連性は医学的に証明されていない」と切り捨てることも可能です。

 また、一般的な風邪や季節性インフルエンザでも上述の症状は起こり得るのです。そのことを子供たちに伝え、「過度な心配は不要である」と安心させることが大人の役割なのではないでしょうか。