「マスクには感染予防効果がある前提で新型コロナ対策の議論を」との非科学的な提言を行う忽那賢志氏
感染症専門医の忽那賢志氏が「マスクには感染予防効果がある前提で議論すべき」と主張しています。
マスクについては単純に「するかしないか」ではなく、感染予防効果があることを前提とした上で「どの場面ではするのか/しないのか」「どういう流行状況であればするのか/しないのか」を議論するべきかと思います。
— 忽那賢志 (@kutsunasatoshi) November 13, 2022
ということで最新の知見を含めて記事をアップデートしました。https://t.co/vx9AwTlWhu
感染症対策の専門家に期待されているのは「マスクには感染予防効果があるとの科学的な根拠を示すこと」です。「マスクには感染予防効果がある前提でコロナ対策の議論をしよう」と呼びかけることではありません。
科学的な根拠を示せない人物が専門家として表舞台で名前を売り続けることになると、「専門家は適当なことばかりを言っているだけなので科研費の増額は不要」と世間が判断する要因になるリスクは知っておくべきでしょう。
今回の提言は『忽那氏自身が行った過去の発言』と矛盾する
忽那氏は Yahoo! 個人に「マスクには感染予防効果がある前提で対策を議論すべき」との主張を投稿していますが、この主張は過去に忽那氏自身が行った発言と矛盾します。
国立国際医療センターに勤務していた忽那氏は TBS の取材に次のように回答しています。
- マスクによって周囲への飛沫感染は防げる
- 咳やくしゃみによる飛沫は正しいマスクの着用で拡散を防げる
- 症状のある人はマスクを着用して欲しい
- 無症状や咳・くしゃみのない場合、マスクは予防に繋がる根拠はない
- マスク着用はインフルエンザの発症率に差がないとの研究が多い
この当時は「新型コロナの感染は接触感染また飛沫感染で起きる」と見なされていたため、ほとんどの医療関係者は「マスクには周囲に飛沫を拡散しない効果がある」と “以前からの常識” に沿った見解を示していました。
ところが、欧米で新型コロナの感染は空気感染と見解が定まったことで『マスク着用』が感染対策として効果を喪失。「空気感染」を認めず「接触感染や飛沫感染が原因」と強弁した “一部の医クラ” が後に引けなくなってしまいました。
これが「マスクには感染予防効果がある前提で議論すべき」などと保身に走る理由になっていることは容易に想像できるでしょう。
感染症対策の専門家がすべきなのは「(マスクの製造メーカーと共同で)マスクに感染予防効果があると科学的に実証すること」だからです。
『効果がある前提』だけで新型コロナ対策を提言する専門家は害悪
「日本の感染症対策の専門家は低レベル」と言わざるを得ないでしょう。提言する新型コロナ対策は『効果があるとの前提』で打ち出され、効果があったかのチェックをしないからです。
- マスクには感染予防効果がある前提で議論を
- 忽那氏の主張内容
- 根拠は忽那氏が過去の発言で否定
- 新型コロナワクチンには感染予防効果がある前提
- ファイザー社のエグゼクティブが欧州議会で試験せずと明言
- 人流削減で感染拡大防止効果がある前提
- 西浦氏が要求した8割削減をせずとも想定よりも前に新規陽性者は減少
新型コロナワクチンも接触削減・人流削減もマスクと同じです。日本の専門家は「効果がある前提」で新型コロナ対策を要求しますが、「効果があったか」を明示したことはありません。
専門家が主張しただけの効果が測定されなかったのですから、「新型コロナ対策の妥当性」を “対策の提唱者” である専門家(や厚労省)がすることはないでしょう。「対策による弊害の方が大きい」との批判の矢面に立つことになるからです。
『科学的な根拠』ではなく『効果があるとの前提』で新型コロナ対策を提言する “専門家” が表舞台で脚光を浴びるほど、他分野の専門家も「憶測で適当なことを言うだけの業界人」と見なされるリスクがあります。
専門家が「不誠実な人物」と見なされてしまうと『科学技術費の増額』を訴えたところで世間には響かず逆効果になってしまうことでしょう。医療業界(の専門家)は逃げ切れそうですが、世界との競争にさらされている他分野ではそうは行きません。
科学者や研究者と呼ぶに値しない人物が専門家として方言をしている現状に危機感を持ち、必要な批判をする必要があるのではないでしょうか。