知念実希人氏、「開業医達はコロナ禍で大きな減収」と主張するも財務省は「医療機関の経営は近年になく好調」と総括

  作家の知念実希人氏が「開業医はコロナ禍で大きな減収となり苦しんでいる」と主張し、たむらけんじ氏のツイート内容に猛反発をしています。

  ただ、知念氏の主張はマクロ(=医療業界全体)では誤りです。財務省の財政審で「医療機関の経営は近年になく好調」と指摘されているからです。

  年間に4兆円弱も医療費が “上乗せ” される特別対応を続けている状況を『5類相当』と主張するのは詭弁と言わざるを得ないでしょう。


医療機関はコロナ禍で増収を記録している

  知念氏は「開業医はコロナ禍で “大きな減収” になった」と主張していますが、これは事実に反します。2022年11月7日に開催された財政制度分科会で以下の資料(PDF)が示されているからです。

  医療費はコロナ補助金を入れると2020年でも対前年比 +2.5%。2021年には対前年比 +7.5% と前年度の3倍を記録しているのです。

  そのため、以下のような指摘が財政制度分科会で出されました。

  既にコロナ前の報酬水準を回復している医療機関に対し、令和4年度に補助金と診療報酬の特例で年間4兆円程度を支援することとなる見込み。

  それに診療所の損益率はコロナ前は 6% だったのが、2021年はコロナ対応をした医療機関で 8.3%。“コロナに対応していない医療機関” は 9.9% と収益を伸ばしているのです。

  医師会に加入する開業医も『コロナ関係補助金』で “美味しい思い” をしていることは否定できないでしょう。


“医師会に加入する開業医(が運営する医療法人)” の補助金による焼け太りが批判されている

  一部の開業医が「コロナ禍による患者の受診控え」によって診療報酬が減少し、経営的に苦しくなっている可能性はあります。ただ、事業報告書を開示しないのなら、その主張は一蹴して問題ありません。

  医療法人は財団でも社団でも所管する都道府県に事業報告書を提出しているからです。

  主たる事業所が都内にある医療法人は東京都に事業報告書を提出していますし、『事業報告等提出書』などは公文書に該当するため(手数料は必要となりますが)開示請求をすることが可能です。

  「コロナ禍で減収に見舞われた」と主張したい開業医がいるなら、自らが運営する医療法人社団の事業報告書を “自主的に” 開示すれば説得力が生まれます。しかし、そうした行為をする開業医は見当たりません。

  ほとんどの開業医が『新型コロナウイルスワクチン接種促進支援事業』で補助金を得られる立場となったから経営実態には口を噤んでいるのでしょう。



  新型コロナでは「過剰医療と補助金の垂れ流し」が問題となっていますが、これは『生活保護受給者への医療扶助』が抱える問題と同じです。

  生活保護受給者に医療費の自己負担分を設けることで過剰医療に歯止めはかかります。新型コロナでは『5類への分類変更』がそれに該当するのです。

  まずは「需要の適正化」が最優先です。恐怖を煽って作り出された『受診の需要』によって得た『診療報酬の総額』が過剰であることを否定するのは困難と言わざるを得ないでしょう。