「休業要請に応じない飲食店には金融機関から働きかけを」と圧力をかけた西村康稔氏を経産相に任命した岸田首相

  8月10日付で第2次岸田改造内閣が発足しました。閣僚人事は総理の専権事項であるものの首を傾げる任命があることも事実です。

  その1つが「西村康稔氏の経済産業大臣任命」でしょう。

  西村氏は経済再生担当・新型コロナ対策担当大臣だった2021年夏に「休業要請に応じない飲食店には金融機関から働きかけを」と “圧力” をかけて即日撤回に追い込まれた過去があるからです。要注意人物と言わざるを得ません。


「融資先の飲食店に休業要請を遵守するよう働きかけを」と金融機関に圧力をかけた西村康稔氏

  西村氏は「経済破壊担当大臣」と揶揄されるほど批判が出ていた政治家ですが、その代表例が金融機関への “圧力” でしょう。

  新型コロナ対応を担当する経済再生大臣として金融機関に「取引先の飲食店に休業要請を遵守するよう働きかけを」と要請する意向を示したからです。その場に同席した尾身茂氏も同罪です。

  政府は金融機関に対し融資先の飲食店に新型コロナ対応の特別措置法に基づく要請・命令の順守などの働きかけを依頼するほか、酒類販売事業者には、要請に応じない飲食店との取引を停止するよう求める。
  西村氏はまた、「メディアや広告で(飲食店を)扱う際に、順守状況に留意していただくよう依頼を検討している」と話した。

  この行為は「圧力か?」との批判が噴出し、即日撤回へと追い込まれました。その人物が1年後に経済産業大臣として閣僚に復帰したのですから、民間企業への “要請” を連発する官主導が色濃くなると予想されます。


今冬の電力不足への対応が最初の試金石

  西村康稔氏にとって最初の試金石は「今冬の電力不足への備え」でしょう。2022年冬季は2022年夏よりも電力不足が深刻になると予想されており、経済産業大臣としての手腕が問われることになるからです。

  • 電力需要を満たす発電能力の確保
  • 電力不足に陥った場合の対応

  今夏の電力不足は「火力発電所が再生可能エネの優遇による採算悪化で撤退に追い込まれたことによる発電量不足」によって引き起こされました。

  根本的な問題の解決は難しいにしても『原子力発電所の再稼働』は必須な状況と言えるでしょう。ドイツでさえ世論の8割が『原発の稼働延長』を支持しているからです。

  ロシアのウクライナ侵略を機に制裁が始まったことで原油価格の上昇が発生し、エネルギー資源の大部分を輸入に頼る日本では電気代の上昇が深刻になっています。

  「大手電力会社への燃料確保の要請」や「電力消費者への節電の要請」では大臣の存在価値はありません。経済産業大臣として経済が成長する政策を実行することが必要であることは言うまでもないことでしょう。



  ただ、西村康稔氏は経済再生担当大臣であったにも関わらず、経済を痛み付ける自粛要請を『コロナ対策』として行う非常識な政治家であることが1年前の時点で露呈しているのです。

  西村氏の政治家としての価値観が2021年夏の時点と同じであるなら、岸田首相の任命責任が問われるべきだと言えるでしょう。