鈴木基氏や西浦博氏などが「ワクチン接種歴ごとの陽性者数を発表するな」とアドバザリーボードに提言

  厚労省の新型コロナ対策アドバイザリーボードに参加する感染研の鈴木基氏や京都大学の西浦博氏が7月13日に行われた第90回の会合「(ワクチン接種の有効性を疑わせる)接種歴ごとの陽性者数を発表するな」と提言しています。

  この背景にあるのは「ワクチン未接種者の方が(絶対値でも)人口あたりでもワクチン接種歴保持者よりも陽性者数が少ない」ことが示されているからです。

  これまでアドバイザリーボードは『該当のデータ』を用いて「ワクチン接種者の方が感染しにくい」と主張し、「大切な人や高齢者を守るためにワクチン接種すべき」と同調圧力をかけて来たのです。

  根拠としていたデータの根本が揺らいで都合が悪くなってから「このデータを使うのは不適切だ」と訴えるのであれば、『不適切なデータ』を用いてワクチン接種を促した責任を負う必要があるでしょう。


鈴木基氏や西浦博氏など専門家4氏の連名で提案された内容

  7月13日に行われた第90回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードに鈴木氏や西浦氏など専門家4氏の連名で提案された内容は資料(PDF)として掲載されています。提案のまとめは以下のとおりです。

  「ワクチン有効性の評価を目的として『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』を比較することは過大評価または過小評価が起きる可能性があるので適切ではない」と主張しています。

  これは2021年9月から『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』を公表していたイギリスが2022年4月に発表を辞めたことを参考にしたのでしょう。

  ただし、イギリスはコロナ対策に終止符を打っているため、『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』は無意味なデータと化しています。また、イギリスの陽性者数を基に「ワクチンの有効性は確認できない」と結論付ける論文も発表されているのです。

  この事実を無視し、「イギリスのように発表値を伏せるべき」との提言は論外と言わざるを得ません。


『ワクチン3回目接種者』も2022年7月初旬に陽性者数が『未接種者』を上回る

  鈴木氏や西浦氏が「『接種回数別の人口あたりの陽性者数』は使えないデータであると宣言せよ」と “恥知らずな提言” をした理由は「3回目接種による効果が消失しつつある」からです。

  7月13日に開かれた第90回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードに提出されたのは「7月3日までの『接種回数別の人口あたり新規陽性者数』」ですが、3回目接種者がワクチン未接種者よりも多い年齢層が発生しているのです。

  “ワクチン未接種者が10万人に満たない80代” は別として、現役世代や高齢者世代では数ヶ月で接種効果が消失しており、7月下旬には有効性はマイナスに陥っている可能性があります。

  このタイミングで発表を取り止めることは「ワクチン接種を促した専門家の保身」に過ぎないでしょう。


「3回目接種でワクチンの有効性が回復」が2022年4月中旬の時点での専門家の見解

  2022年4月13日に開催された第80回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードに提出された『直近の感染状況などの分析と評価(PDF)』において、専門家は以下の主張を行っています。

  「3回目接種をすればオミクロン株に対するワクチンの有効性も回復するので3回目接種を着実に実施すべき」との見解を示しているのです。

  ところが4月20日に開催された第81回会合で「言い逃れができない齟齬」が発覚。5月11日の第83回会合で「不適切な統計処理をしていた事実」を厚労省が認めることになりました。

  鈴木氏や西浦氏は「『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』の発表を止めろ」と提言していますが、アドバイザリーボードは『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』を根拠に3回目接種を2022年4月中旬まで猛プッシュしていたのです。

  また、不適切な統計処理が明るみに出たことで後藤厚労相は謝罪へと追い込まれました。

  『接種回数別の見かけの人口あたり報告数』を用いることが不適切なら、新型コロナワクチンの3回目接種を促す根拠に用いたことを猛省しなければなりません。それをしない時点で「専門家の保身」との批判は免れないでしょう。



  鈴木氏や西浦氏など専門家4氏の提言は科学者として不誠実です。このような人物に権威を与えることは弊害が大きくなりますし、医療への不信感を増大する結果を招くことになってしまいます。

  医療業界の自浄作用は期待できないのですから、新型コロナのアドバイザリーボードや対策本部を(重症度の低下を理由に)解散すべき時が訪れたと言えるのではないでしょうか。