スクリーニング検査で『ゼロコロナ』を目指す NPB、両リーグの首位チームから陽性反応者が大量発生で試合中止に

  プロ野球のセ・リーグを独走するヤクルト・スワローズから高津監督など14名が新型コロナ陽性を示し、9日のヤクルト対阪神戦の中止が決定したと報じられています。

  皮肉なのは NPB が週1回のペースで実施するスクリーニング検査で陽性者を発見して試合中止に追い込まれてしまったからです。無症状のプロ野球選手が「陽性反応を示した」との理由で離脱を強いているのです。

  選手は隔離でコンディションを崩されることになりますし、日程面も過密になる弊害が起こります。自業自得と言わざるを得ないでしょう。


7月9日までに新型コロナ陽性を示したヤクルトの選手や監督・コーチ陣

  ヤクルト・スワローズの選手や監督・コーチ陣で新型コロナ陽性を示したと報じられたのは以下のとおりです。

表:7月9日の時点で新型コロナ陽性を示したヤクルトの関係者
監督・コーチ出場先発備考
高津 臣吾 -- 監督
石井 弘寿 -- 投手コーチ
投手出場先発備考
高梨 裕稔 先発投手として6回3失点の QS
清水 昇 中継ぎ投手としてブルペン待機
田口 麗斗
野手出場先発備考
山田 哲人 8日に体調不良を訴える。相手の先発投手との兼ね合いもありベンチ外
濱田 太貴 8日に体調不良を訴える。ベンチ入りメンバーには名を連ねる
青木 宣親 5番レフトで先発出場
松本 尚樹
内山 壮真
奥村 展征 8番セカンドで先発出場
長岡 秀樹 6番ショートで先発出場
丸山 和郁

  体調不良を訴えたのは山田選手と濱田選手の2人。山田選手は8日の試合に先発した青柳投手(阪神)との相性が極端に悪いこともあり、ベンチ入りメンバーからも外れていました。

  濱田選手はベンチ入りしたものの、右打ちであるため起用は見送られています。

  その一方で8日の試合に先発した高梨投手や先発野手などからも新型コロナ陽性者が確認されています。これらの選手は “体調不良を訴えていない” のですから、スクリーニング検査をしなければ離脱を強いられることはなかったでしょう。

  したがって、NPB の方針がトラブルの原因になったと言えるはずです。


疫学調査で防げるなら、医療機関や高齢者施設からのクラスター報告は消えている

  セ・リーグで首位を独走するヤクルト・スワローズは『NPB のコロナ対策禍』に見舞われましたが、6月末にはパ・リーグで首位に立つソフトバンク・ホークスから大量の新型コロナ陽性者が発生する事態に直面しています。

  それを受けた NPB の斉藤惇コミッショナーは「疫学調査の実施」を表明しました。

  しかし、この疫学調査は無意味です。感染経路を判明することができるなら、重症者が発生しやすい医療機関や高齢者施設での『有効なクラスター対策』が確立されているはずだからです。

  疫学調査の名目で『感染しない・させない』のスローガンに反する「感染した者・感染させた者」を名指し批判するだけの代物に躍起になる意味を見出すことは困難です。

  日本シリーズの日程に対する懸念が示されていますが、今年3月の時点で「濃厚接触者の特定は求めない」との行政からの通知に反して “濃厚接触者狩り” に励んで興行が成り立たなくなるのは本末転倒と言わざるを得ないでしょう。



  新型コロナに罹患しても重症化しにくい “健康な若者” であるプロ野球選手に「陽性反応を示しやすくなる弊害がある新型コロナワクチンの接種」をコミッショナーが呼びかけているのです。NPB のコロナ対策禍は続くことになるでしょう。