コロナ禍の被害が先進国で最小だった日本が『過剰な自粛要請』による経済被害で実質 GDP がコロナ前に戻らず

  内閣府が発表した『GDP 統計』で「2021年度の年次 GDP 実績が実質 GDP で537兆円となり、政府が2021年度中での回復を見込んでいた新型コロナの流行前の水準に届かなかった」と共同通信が報じています。

  『消費を抑制するコロナ対策』を奨励し、消費が落ち込んだことで失速した経済を刺激するためのバラマキ政策で対処する姿勢は論外と言わざるを得ないでしょう。


年次GDP実額

  内閣府が発表している『国民経済計算(GDP統計)』の「年次 GDP 実績」をグラフ化すると以下のようになります。

  コロナ禍前の「年次 GDP 実績」は約550兆円でした。

  それが2020年度は約526兆円にまで減少。2022年3月までの1年間が対象となる2021年度は(政府の見通し額:539兆円を下回る)約537兆円でした。

  日本は欧米の主要先進国と比較して新型コロナの感染拡大による影響が最も軽微な国です。コロナ禍での被害が少なかったにも関わらず、コロナ対策によって経済に最も深刻な影響を与えたことは問題です。

  再発防止策を講じなければならないと言えるでしょう。


四半期GDP実額

  一部のメディアで「実質 GDP の過半数を占める個人消費は『2021年10月から12月に記録した数値』と『2022年1月から3月に記録した数値』がほぼ横ばい」とポジティブな評価を与えていますが、これは比較対象が不適切でしょう。

  『1月から3月期』で比較するとコロナ前の水準に届いていないことは明らかだからです。

  『1月から3月までの四半期』において、コロナ前の四半期 GDP 実績は約555兆円でした。それが『2022年1月から3月までの四半期』では約538兆円と17兆円も少ないのです。この事実を伏せることは報道機関として好ましくないはずです。


個人消費(四半期)

  個人消費はどの四半期でも(コロナ前は)約300兆円で推移していました。

  2019年10月から12月に個人消費が7兆円弱の落ち込みを記録していますが、これは2019年10月1日から消費税率が 10% に引き上げられたからです。そのため、7月から9月の四半期で2兆円分の「駆け込み需要」が発生しています。

  その後は『コロナ対策禍』で消費の抑制が「自粛の呼びかけ」によって引き起こされており、『消えた需要』による日本経済への悪影響が深刻な状況になってしまいました。

  しかも資源インフレで価格の上昇に歯止めがかかりそうもありません。“検討使” と揶揄される岸田政権では世間一般の生活は苦しくなる一方でしょう。経済に悪影響を及ぼす政策は迅速に実施する決断力と行動力を発揮しているからです。