株主資本主義を否定した岸田首相がロンドンの金融街で "Invest in Kishida" と講演するのは滑稽すぎる

  ゴールデンウィークに合わせて外遊中の岸田首相がイギリス・ロンドンの金融街『シティ』で「 Invest in Kishida (岸田に投資を)」との呼びかけを行なったと NHK などが報じています。

  これは滑稽と言わざるを得ません。岸田首相は『株主資本主義』を否定する発言を公式の場で何度も繰り返しているのです。 投資家が魅力的に感じる市場ではないことは言うまでもないことでしょう。

  円安が続く政策を採り続けているため、岸田首相を歓迎するのは「為替のトレーダー」と「コロナ対策で疲弊した優良企業を買い叩こうとする “ハゲタカ・ファンド”」ぐらいに限定されると考えられます。


ロイター通信は「円安による “商機” を活かせていない」と指摘

  日本への投資を呼びかけた岸田首相ですが、ロイター通信は「円安を国内経済に活かす政策を採れていない」との現実を指摘しています。

  The yen's weakness would normally be a boon for inbound travellers, but Japan, fearing COVID-19, has kept its borders closed to tourists.

  Once a boost to Japan's trade-reliant economy, yen weakness is also benefiting exporters to a lesser extent as many Japanese firms have shifted production overseas.

  The government recently upgraded its assessment of the economy for the first time in four months, citing an expected recovery in spending, but warned the outlook was clouded.

  ロイターが岸田政権の姿勢を批判しているのは記事の最後です。

  1. 円安は一般的にインバウンド旅行客を増加させる
    • 日本は新型コロナ対策を理由に鎖国したまま
  2. 円安は “加工貿易国である日本” への恩恵もある
    • 多くの日本企業が生産拠点を海外に移したため恩恵はそれほどない
  3. 政府は消費の増加を理由に景気判断を上方修正したが、先行きには不透明感があると警告

  円安となった時に稼げる代表例が「海外からの旅行客」ですが、それを岸田政権は閉ざしているのです。この事実があるのですから「 Invest in Kishida 」と呼びかけたところで呼応する投資家はいないでしょう。

  “商機を逃す可能性が高い国” に投資をしてもリターンよりリスクの方が大きくなるからです。


2022年1月の所信表明演説で『株主資本主義』を否定した岸田首相

  また、2022年1月に行われた所信表明演説で『株主資本主義』を否定していることもマイナス要素です。岸田首相は「経済再生の要は『新しい資本主義』の実現」と言及した後に以下の演説を続けました。

  市場に任せれば全てが上手くいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、様々な弊害を乗り越え、持続可能な経済社会の実現に向けた、歴史的スケールでの「経済社会変革」の動きが始まっています。

  私は、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」によって、この世界の動きを主導していきます。官と民が全体像を共有し、協働することで、国民一人ひとりが豊かで、生き生きと暮らせる社会を作っていきます。

  岸田首相は「市場に任せれば全てが上手く行くという新自由主義」と批判していますが、“政府に任せれば全てが上手く行くという社会主義” はすべての国で失敗しているのです。

  『市場に任せた自由主義の国』の方が『国家エリートが方針を定めた社会主義の国』よりも経済成長したことは紛れも無い事実なのです。社会主義政策を『新しい資本主義』との名称で遂行しようとする岸田政権下での経済が落ち込むことは確定的と言わざるを得ないでしょう。



  岸田政権は『(コロナ対策による)円安』を引き起こしたため、日本国内に残された数少ない優良企業を外資が安く買い叩ける環境を作り出すことには成功しています。「売国奴」との批判を受けることになったとしても驚きではないと思われます。