政府(=内閣官房)が『ワクチン/検査制度』の名称での再導入を打診も「差別を助長する」などの指摘が参加者から相次いでいたことが議事概要で明らかに

  2月25日に開催された第13回・新型コロナウイルス感染症対策分科会の議事概要(PDF)がウェブ上で一般公開されました。

  第13回の対策分科会では『ワクチン検査パッケージ』に代わる『ワクチン/検査制度』の導入が提言され、「3回目接種を必須としてはどうか」との案が議論になったとフジテレビなどのメディアが報じています。

  その案を提出したのは内閣官房であり、分科会に参加する専門家は「オミクロン株への効果が低下するので現実的でない」や「差別を助長する」との懸念が示される有様です。コロナ対策そのものを撤回・終了すべきでしょう。


「『ワクチン/検査制度』の名称での再導入を打診」は政府によるもの

  第13回・新型コロナ対策分科会の内容が報じられた際に物議を醸したのは「『ワクチン/検査制度』の中身」です。中でも行動制限緩和の対象となる利用者の条件でしょう。

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  1. 全員の追加接種を確認する(この場合、未接種者は緩和の対象外)
  2. 追加接種者を含め、全員の陰性を確認する
  3. 追加接種者と未接種者の空間を分ける

  資料6(PDF)で提案されている内容は人種隔離政策『アパルトヘイト』と同じです。この提案を分科会に参加していた誰がしていたかと言いますと政府(=内閣官房)なのです。

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  議事概要(PDF)を確認すると、内閣官房の菊池善信審議官が説明していることが確認できます。そして、特筆すべきは行動制限の緩和案に対して専門家から問題点が指摘されていることでしょう。


「感染予防はかなり限定的なワクチンで『検査パッケージ』的な考えはどこまで成り立つのか」との指摘

  まず、押谷仁氏(東北大教授)は『ワクチン・検査パッケージ』に対して消極的な見解を示しています。

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  • 追加接種をすると一時的に感染予防効果は上がる
  • と言っても、オミクロン株に対してはそこまで上がらない
  • 4回目や5回目接種をやるの?
  • 今後、ワクチンに期待できるのは重症化阻止で感染予防効果は限定的
  • そうなると「『ワクチン検査パッケージ』のような考えがどこまで成立するか」は長期的な観点から考えないといけない

  現行の新型コロナワクチンには「感染予防効果」が期待できなくなっているのですから、『ワクチン/検査制度』を導入したところで行き詰まるのは時間の問題です。

  「ワクチンを接種すれば重症化しにくくなる」と言っても、それは「半年未満という期間限定で “健康な若者” の肉体を手に入れた」に過ぎません。

  それに欧米では『ワクチンパスポートの撤回』が進んでいるのです。欧米よりも新型コロナによる感染被害の少ない日本は迷わず追従すべきでしょう。


「追加接種者と未接種者で空間を分ける気なのか?」と指摘した武藤香織氏

  また、公共政策研究分野の武藤香織・東京大教授は以下の指摘を行なっています。

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  武藤氏の指摘は「内閣官房が提出した全員に追加接種の有無を確認したり、陰性確認をしたり、空間を分けることができるのか?それをした場合の偏見・差別問題はどうなるのか?」という直接的なものです。

  この指摘に対する反論や追加説明は第13回・新型コロナ対策分科会では行われていません。第14回は未開催であり、尾身氏は「ワクチン/検査制度は喫緊のテーマではない」と “逃げ” を打つ有様です。


磯部哲氏は「本来の趣旨や目的がだんだん曖昧になっていないか」と指摘

  慶応大学学法科大学院の教授である磯部哲氏は法律の観点から『ワクチン・検査パッケージ』などの対策への問題を指摘しています。

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  「制度の趣旨や目的が曖昧になっているのではないか」との懸念を示し、 恒久的に扱うなら法律で位置付けを行うべきと主張しています。

  それに「この問題を国会で議論しないことは深刻な疑問だと思っている」との見解を表明しています。 “密室” で決定した内容を基に『(憲法で保障されている)個人の自由』の制限を現にしているのですから、 「違法の疑いあり」との指摘が出るのは必然でしょう。



  そもそも『ワクチン・検査パッケージ』を「オミクロン株による新規陽性者の増加」によって停止したのは他ならぬ政府分科会です。それに新型コロナは “ワクチンを無効化にした変異株” が生き残る可能性が高いのです。

  ワクチン接種効果を検証するほど「効果は薄れている」との結論が導き出されることは避けられないでしょう。

  新型コロナ対策は「指針」から変換しなければならない状況にあります。“健康な人” にとっては『効果よりもデメリットが大きくなる3回目以降のワクチン接種』を前提にした対策を支持する専門家は公職追放としなければならないのではないでしょうか。