人口動態統計速報:2021年の年間出生数は前年より約3万人減少し、死者数は『推計値・中位』の水準に戻る

  厚生労働省が人口動態統計速報の2021年12月分を発表していましたので内容を紹介いたします。

  2021年の年間出生数は速報値で約84万人ですが、前年よりも約3万人の減少を記録しています。そのため、概数値では「80万人強」に留まることでしょう。

  また、年間死者数は約145万人となり、昨年よりも約6万8000人も増加しています。ただ、2020年に記録した死者数はトレンドに反して前年度よりも減少していたため、騒ぐ必要のないものです。


人口動態統計速報(2021年12月分)

  発表された人口動態速報(2021年12月分)は以下のとおりです。

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  2021年12月の出生者数および死者数は「前年とほぼ同数」との結果でした。これは手放しで喜べることではありません。なぜなら、2020年12月の出生者数は『推計・低位』にまで落ち込んでいたからです。

  したがって、コロナ対策禍による少子化の加速は極めて深刻な状況と言わざるを得ないでしょう。

  一方で『コロナ対策』の正当性を主張する人々は「2021年に報告された死者数が前年よりも大幅増」であることを強調すると予想されますが、日本での2020年の年間死者数が「予想に反して前年割れ」だった事実を無視してはなりません。

  高齢化が進む日本では「2040年頃まで年間死者数は毎年2万人ずつ増える」との予測が国立社会保障・人口問題研究所から『将来推計人口』として記されているからです。新型コロナだけに捉われているようでは取り返しの付かないことになるでしょう。


出生数(2021年12月・人口動態統計速報)

  2022年の出生数が80万人割れになることは確定的です。

  将来人口推計の『推計・中位』では「出生数の80万人割れ」が起きるのは2032年でしたから、「コロナ対策禍で少子化が10年進行した」と結論付けられるのは不可避と言わざるを得ません。

  また、『推計・低位』においても「2025年から出生数は70万人強で踏み止まる」との楽観的な予測が立てられていますが、『基本的な感染対策』として「他者との接触を控えるべき」と呼びかけているため、2020年代に「出生数の70万人割れ」が起きても驚きはありません

  「若者を含む現役世代」や「子供などの将来世代」よりも「引退世代である高齢者」を優遇したのです。結果は火を見るよりも明らかでしょう。

月別の出生数


死者数(2021年12月・人口動態統計速報)

  2021年の年間死者数は『将来推計人口・中位』で予想された143万8000人と同水準でした。

  「超過死亡」に関する講釈を述べる医療従事者がネット上で散見されますが、日本は「高齢化の影響で毎年死者数が増加する国」である根本的な部分を無視した主張がほとんどで参考にすらなりません。

  速報値の死者が145万人でも、『人口動態統計の概数』で発表される死者数は『速報値』より1000人ほど少ないのです。結果として、『推計・中位』で予測された死者数と同程度に落ち着くことになるでしょう。

月別の死者数