“大阪市の計上漏れ” を反映させた『大阪府の新規陽性者数』を用いても実効再生産数は減少を続けて R=1 に近づく

  大阪市での新型コロナ感染者数の計上漏れが判明したことで『大阪府の新規陽性者数』に変動が生じています。「こうなるとわからん」と嘆く人もいるようですが、それは『修正後の数値』を算出する手間を惜しんでいるだけです。

  『修正後の新規陽性者数』から算出した実効再生産数Rが R=1 に近づいている事実を無視すべきではないでしょう。


大阪市での新型コロナ陽性者数の計上漏れを反映させた値

  2月3日から大阪市保健所からの「新型コロナ陽性者数の計上漏れ」が報告され、大阪府の新型コロナ陽性者数が “本来の陽性者数” とは違った動きになっています。

  発表値を分析に使えなくなったことは事実ですが、『修正値』を算出して使えば問題にはなりません。その手間を惜しまなければ済むからです。

表: 大阪府から発表された新型コロナの新規陽性者数
当初値漏れ重複修正値
1/29 1035051110861
1/30 91336329765
1/31 624320468289
2/1 11881189513776
2/2 11171254113712
2/3 196152921762514911
2/4 135611384 292114324
2300
2/5 12302770 138416388
4700
2/6 13325150077014055
2/7 83087009008
2/8 20609920011409
2/9 1526415264

  大阪府では「『計上漏れの判明分』は『本日分』に計上」と注釈を付けているのです。【当初値】から【計上漏れ】を加算した上で【重複分】を減算すれば『修正値』をは算出できます。

  あとは『修正値』を使って『実効再生産数R』がどのようになっているのかを確認すれば良いことです。


『修正後の新規陽性者数』と『実効再生産数R』の推移

  『大阪市での計上漏れの修正を反映させた新規陽性者数』と『世代平均時間を2日とした際の実効再生産数R』は以下のとおりです。

  大阪府における2月上旬の新規陽性者数は修正が行われたことで【当初値】からは増加。それにより、(平均世代時間が2日とした場合の)実効再生産数Rは 0.03 ほど高くなりました。

  (※ 平均世代時間が5日とすると、2月2日のRは 0.1 ほど修正後の方が高くなる)

  しかし、後日計上分が解消されるため、2月8日の実効再生産数Rは『修正後』の方が低くなります。平均世代時間が2日だとRは 0.04 ほど低く、R=1.08 になるからです。



  大阪府の吉村知事は『医療緊急事態宣言』を出しましたが、病床が埋まる理由は「重症化の可能性を理由に新型コロナの陽性反応を示した高齢者を入院させているから」です。

  “医学的に入院が必要な患者” が(高齢者を中心に)多数発生しているのであればトリアージを早急に制定すべきです。“不要不急の入院患者” が原因で医療逼迫に陥っているなら、運用方法を変更しなければなりません

  「オミクロン株に罹患した際の方が季節性インフルエンザよりも重篤になる」との根拠すら示されていないのです。高齢者や “コロナ脳” を安心させるためのコロナ対策によって生じた弊害は深刻なものになるでしょう。