「2月9日までにピークアウトの予想はほぼ確実に外す」と大見得を切るも、派手に外した “データサイエンティスト” の木下喬弘氏

  『手を洗う救急医』として活動する木下喬弘氏が「(三浦瑠麗氏らの)2月9日までにピークアウトするとの予測はほぼ確実に外すのでしっかり検証しましょう」と呼びかけています。

  しかし、結果は2月9日の新規陽性者数は『1週間前の水曜日』よりも減少しました。

  これはピークアウトと言える動きであり、「データサイエンティストが本職の木下喬弘氏は能力不足を露呈した」と言わざるを得ないでしょう。


東京都の新規陽性者数と実効再生産数R

  東京都での『発表日別の新規陽性者数』は先週の2月初旬がピークになることが濃厚です。

  実効再生産数Rは「1をわずかに上回っている状況」であり、2月11日または12日に R<1 となるでしょう。(※ 11日の新規陽性者が16427人なら R=1 となる)

  木下氏は「ほぼ確実に外れる」と断言していましたが、「三浦氏などの予測は的中した」と言わざるを得ません。

  つまり、木下氏の予測(=三浦氏などによる予測は外れる)には現実との乖離が存在したのです。そうなった要素を探し、修正した予測案を提示することが木下氏の責務になります。


『西浦氏の「42万人が死亡する」とのシミュレーション』を前提にした対策を要求していた木下喬弘氏

  ただ、木下氏がその責務を果たす可能性は低いでしょう。なぜなら、2020年4月に『西浦氏の予測』を全面的に支持し、対策を要求しているからです。

  『西浦氏の予測』は緊急事態宣言が出された直後に現実との乖離が浮き彫りになりました。

  「今の新規陽性者は “2週間前の” 行動の結果」と主張していたものの、緊急事態宣言の効果が現れる前に新規陽性者数は想定よりも減少してしまったからです。この事実を総括していないのですから悪質と言わざるを得ないでしょう。


『シミュレーション』ではなく『1つのシナリオ』との詭弁で逃走

  「何もしないと42万人が死亡する」との荒唐無稽な予測(を支持して対策を訴えたこと)への批判を受けた木下氏は以下の弁明を行なっています。

  この弁明は噴飯物です。専門家の仕事で免罪されるのは「定量的な分析」までです。「『自ら行なった定量的な評価』を基にした政策の実行を要求すること」は政治ですから、結果責任を伴うのは当然です。

  それに、『感染症の専門家』に「政治」を求める人はいないでしょう。なぜなら、選挙による審判を受けない “安全な立場” にいるからです。

  日本の医療業界は収入の9割が税金と保険料です。『感染症の専門家』は経済を止めても収入は確保されたままですから、「経済よりも(業界収入をもたらす高齢者の)命が大事」と主張することになるのです。

  『若者の健康状態』や『子供の発育環境』よりも『後期高齢者の寿命』を優先しているのです。日本の未来を暗くしているのは「(木下氏のような)シルバー・デモクラシーの支持者」だと言えるでしょう。


データサイエンティストが “本業” の木下喬弘氏

  また、木下氏のツイートで “痛い” のは当人がデータ・サイエンティストを本業にしていることでしょう。なぜなら、木下氏自身がそのように報告しているからです。

  木下氏は医療の現場には立っていません。

  だから、ワクチン接種の優先資格を(アメリカでは)得られず、未接種であることを隠してワクチン接種を推奨し、日本に一時帰国した際に(医師資格保持者を理由に)接種を受けるなどと “奇妙な行動” をしていたのです。

  今はデータ・サイエンティストとのことですが、第6波のピークアウト時期を見誤ることはデータ・サイエンティストとして致命的です。

  日本で観測された報告症例数からピークアウト時期は予測できますし、“イレギュラーな事態” には見舞われませんでした。また、予測は『95% の信頼区間』を考慮すべきですし、2月9日の前後1〜2日にピークアウトしているなら「的中」と言うべきでしょう。



  “臨床に関する医学の知識と経験を持ったデータ・サイエンティスト” して活躍しようとしても、データ分析能力が貧相なら話になりません。“政治に関する知識と経験を持ったデータ・サイエンティスト” による世論調査が鵜呑みにされないことと同じです。

  「分析結果が現実とは異なる」との事実が突きつけられた際に開き直る専門家は不要です。浮世離れした専門家やクレーマーへの配慮を続ければ、散々な結果になることを学ぶ必要があるはずです。