『効果的な対策』ではなく『政権(≒支持率)維持』の目的で「1日100万回のワクチン接種」を指示する岸田首相

  岸田首相が「1日100万回の新型コロナワクチン接種」を関係閣僚に指示したと各メディアが報じています。

  日本テレビは「政権幹部は『接種回数を増やせないと政権がもたない』と危機感をあらわにした」と伝えていますが、「ワクチン接種効果」ではなく「政権支持率の維持」が目的になっている時点で反感を買う結果になるでしょう。


3回目接種を実施したイスラエルは散々な状況

  政府(・分科会)や専門家は「ワクチンの3回目接種は効果がある」との立場を採っていますが、国民の大部分が3回目接種を済ませて今冬を迎えたイスラエルの現状を都合良く無視していることが問題です。

  なぜなら、イスラエルでは弱毒化しているオミクロン株の感染拡大で『入院中の重症者数』が(2月6日に)過去最悪を更新したからです。

  この状況を “科学的に” 説明することができないのであれば、「1日に100万回のワクチン接種」などの目標を掲げて闇雲に接種すべきではありません。

  イギリスのように「オミクロン株の感染拡大で過去最悪の新規陽性者を計上しても『入院中の重症者数』は横ばい」の国も存在しているのです。『ワクチンの追加接種』が唯一の選択肢ではない事実を認識しなければならないでしょう。


オミクロン株ではワクチン未接種者の重症化や死亡も限定的

  また、2月2日に開催された新型コロナ感染対策アドバザリーボードに提出された広島県での重症化率や致死率がデルタ株による第5波よりも大きく低下している事実があります。

  大阪府から発表されている新規重症者数から算出した重症化率でも同じです。

  ワクチン接種を激推しする医師などは「未接種者が重症化する」と主張していますが、実際に重症化しているのは高齢者や基礎疾患保有者です。

  「ワクチン接種の有無で重症化率に大きな差がある」のであれば、それを示す HER-SYS データがアドバイザリーボードに資料として提出されていることでしょう。データが示されていない時点で「憶測」に過ぎないのです。


読売新聞の世論調査では「『経済活動の制限をするな』が過半数」

  岸田首相が『聞く力』をアピールポイントにするなら、読売新聞が行なった2月の世論調査で「政府は経済活動の制限をできるだけすべきでない」が過半数を占めた事実に配慮しなければなりません。

  • 新型コロナウイルスの感染が続く中、政府や自治体は、飲食店の営業などの経済活動を、できるだけ制限する方がよいと思いますか、それとも、できるだけ制限しない方がよいと思いますか。
    • 制限する  41
    • 制限しない 51
    • 答えない  9

  岸田首相の近くにいる専門家らは『コロナ禍』を懸念して対策を要求していますが、『コロナ対策禍』に苦しむ人がマスコミの世論調査でも浮き彫りになるつつあるのです。

  コロナ対策を正当化する人はシルバー・デモクラシーの代弁者に過ぎません。

  彼らは「命が大事」と主張してコロナ対策の正当性を訴えていますが、現役世代や子供たちは眼中にないからです。「経済的困窮にあえぐ若者や子供の命は重要ではないのか」との問いに答えていないのです。

  コロナ対策は『弱肉強食』を『若肉老食』の形で現実世界に影響を及ぼしているのですから、日本の先行きが思わしくないのは必然と言わざるを得ないでしょう。



  岸田首相が掲げた「新型コロナワクチンの1日100万回接種」はワクチンがオミクロン株への効果が薄いのですから無駄打ちに終わる可能性が大です。しかも、その費用は将来世代の負担ですから目も当てられません。

  接種効果が期待できる科学的な根拠があるからではなく、高齢者の人気取りのために接種回数でアピールする姿勢は厳しく批判されるべきでしょう。「経済よりも命」と言うなら、自己負担を3割ほどすべきなのではないでしょうか。