新型コロナの分類見直しに否定的な岸田首相に対し、松井・大阪市長と小池・都知事が「見直すべき」と反旗

 岸田首相が1月13日に都内で記者団に対し、新型コロナの感染症法上の分類を見直すことに否定的な見解を示したと時事通信が報じています。

 ただ、大阪市の松井市長が「新型コロナを季節性インフルエンザと同等の分類に」と要望したことに続き、東京都の小池都知事も「5類への引き下げ検討を」と言及したと日経新聞が報じています。世間の風向きが変わり始めているのでしょう。

 

過剰な新型コロナ対策を続ける岸田首相

 岸田首相は感染症法第22条の二で記された「最小限度の措置」に逸脱する対応を続けています。

 新型コロナの感染症法上の分類を季節性インフルエンザ相当に見直すことに関し、首相は「感染が急拡大する中では現実的ではないのではないか。いったん変更すると、その後に変異が生じた場合に大きな問題を引き起こしてしまう」と否定的な考えを示した。

 法律で許されているのは『最低限度の措置』ですから、「将来に発生するかもしれない(強毒化への)変異」を理由にした措置を採ることは容認されていません。その理由だと『最大限の措置』となるからです。

 したがって、コロナ対応で冷静さを最も欠いている人物の1人が岸田文雄首相であることは明らかと言わざるを得ないでしょう。

 

法律上の分類は『1類以上』に該当する新型コロナ

 マスコミは新型コロナの法律(=感染症法)上の分類を『2類相当』と表現していますが、これは誤りです。新型コロナが『指定感染症』だった頃は『2類相当』でしたが、2021年の法改正で『1類以上』になったからです。

感染症法上の分類と主な措置

 1類のエボラ出血熱では濃厚接触者などへの外出自粛要請を出すことはできません。しかし、エボラ出血熱より致死率(=陽性者に占める死者の割合)が低い新型コロナでは可能なのです。

 また、新型インフルエンザでは交通制限を設けられませんが、新型コロナでは可能です。インフルエンザは(定点観測で)毎年2000万人の患者が発生しますし、ピーク時には1日で数十万人の新規患者が発生します。

 『感染力がインフルエンザよりも1桁低く、致死率がエボラ出血熱より少なくとも1桁低い感染症』は「1類以上の分類」には相当しません。見直しの声が出るのは当然と言えるでしょう。

 

維新と小池都知事などは「新型コロナを感染症法の5類に」と変更を促す

 新型コロナの5類への引き下げを最初に言及した大物政治家は安倍元首相です。読売新聞のインタビューで「5類への引き下げ」を選択肢として提示しました。

 また、維新の会は13日に厚労省を訪問して後藤厚労相に「新型コロナの法律上の扱いを季節性インフルエンザと同等に引き下げることなど」を要望。

 小池都知事も「新型コロナを季節性インフルエンザと同じ感染症法上の5類に引き下げることを検討すべき」と13日に言及しています。

 “世論を読むことに長けた小池都知事” が「新型コロナを5類に引き下げるべき」と要求したことは大きな変化です。 『感染対策の強化』だと「今夏の参院選では分が悪くなる」と感じたのでしょう。

 

 『感染症を罹患した際の症状』によって欠勤者が大量に発生して社会経済活動が維持できなくなることは問題です。しかし、欠勤者が大量発生した理由が『感染症患者の濃厚接触者と認定された場合』は「感染対策が原因」です。

 オミクロン株による感染拡大では後者が現実問題となりつつあります。

 『濃厚接触を理由に健康な人物の就業を制限したことで生じた社会の混乱』は政治が選挙で責任を問われることになるでしょう。無意味な感染対策を提言した専門家のアドバイスを聞き続けたことによる当然の結末だと言えるのではないでしょうか。