自民・小野田議員の「子供たちのために新型コロナを5類に引き下げを」との主張に岸田首相は「現実的でない」と答弁

  6月13日に行われた参議院決算委員会で岸田首相が「新型コロナを5類に引き下げることは現実的ではない」と答弁したと NHK が報じています。

  質問者は今年夏の参議院議員選挙で岡山選挙区から出馬する小野田紀美議員です。1人区で改選を控える現職議員が「子供たちが当たり前の学校生活を取り戻せるよう『5類』に引き下げるべき」と主張しているのです。

  それを「平時への移行期間で現実的でない。タイミングを考えていくべき」と “検討使” ぶりを存分に発揮しているようではシルバー・デモクラシーが是正されることは期待できないでしょう。


「子供たちの人権を制限しなければならない疾病ではない」が小野田氏の主張

  自民党の小野田氏が質問した内容は以下のように報じられています。

  小野田紀美氏は新型コロナの感染症法上の扱いをめぐり「子どもたちは、学校生活で部活の大会や発表会がなくなったり、修学旅行に行けなかったりと我慢してきた。感染症法上の分類を『五類』に引き下げるなどして子どもたちが当たり前の学校生活を取り戻せるよう決断してほしい」と求めました。

  小野田氏の主張は妥当です。子供たちは新型コロナに罹患しても重症化に至るケースは極めて例外的であり、疾病としてのリスクが2年前の時点から季節性インフルエンザを上回ったことはないからです。

  そのため、子供たちの学校生活を制限する科学的根拠は何もありません。「新型コロナは子供たちにとって季節性インフルエンザよりも脅威」との医学的データがあるなら示すべきでしょう。

  人口動態調査の死亡確定数から抽出した『コロナ前のインフルエンザによる子供の年間死亡症例数』は『新型コロナによる子供の累計死亡症例数』よりも多いのです。しかも新型コロナは陽性反応者は死因に関係なくコロナ死とカウントしての数字です。

  この事実を無視し、現状のコロナ対策を継続する意向を示した岸田首相の姿勢は記録されるべきものと言わざるを得ません。


「(若者や子供たちの負担で)今のコロナ対策を維持する」と表明した岸田首相

  小野田氏の「子供たちの学校生活を取り戻すために『5類』への変更を」との訴えに対する岸田首相の答弁は以下のものであったと NHK は報じています。

  これに対し岸田総理大臣は「いまは平時への移行期間と位置づけて、現状の感染症対策を維持し社会経済活動を少しずつ動かしていく段階だ。感染症法上の分類を今の段階で動かすことは現実的ではなく、タイミングをしっかり考えていくべきだ」と述べました。

  岸田政権の支持率が若い世代ほど伸び悩みを見せているのは当然でしょう。若者や子供たちにとって弊害しかない『現行のコロナ対策』を維持すると改めて公言したからです。

  コロナ対策の受益者である高齢者や医療業界は「社会経済活動が少しずつ動かしていく」ことによる影響は皆無です。収入源である年金や診療報酬は自粛要請で経済が停滞しても支払いの滞りが発生することはありませんでした。

  年金や医療保険を支えているは現役世代と不足分を穴埋めする赤字国債を償還する)将来世代です。その現役世代と将来世代に『コロナ対策の負担』を追加したのですから少子化が加速するのは必然でしょう。



  小野田議員のような「将来のことを考える国会議員」がいることは素晴らしいのですが、トップが『コロナ対策最優先』を固執する状況では事態は悪化する一方でしょう。シルバー・デモクラシーに飲み込まれて沈んだ愚かな国として日本は歴史に刻まれることになると思われます。