ファイザーが「3月にオミクロン用ワクチンの準備が整う」と表明も、『既存ワクチンでの3回目接種』を促す日本政府

  新型コロナワクチンを製造・販売をするファイザーのブーラ CEO が「オミクロン株に特化したワクチンは3月に準備ができる」と言及したと日経新聞が報じています。

  ワクチンや感染状況を考えると、『既存ワクチンでの3回目接種』を急ピッチで進めるメリットはありません。にも関わらず、それを促す日本政府やワクチンを激推しする医療関係者の行為は問題視されるべきと言わざるを得ないでしょう。


3月に準備が整うファイザーのオミクロン特化ワクチン

  1月10日に行われた『JPモルガン・ヘルスケアカンファレンス』での発言は以下のとおりです。

  • ブーラ CEO (ファイザー)
    • オミクロン型に特化したワクチンは3月に準備できる
    • すでに生産を開始
  • バンセル CEO (モデルナ)
    • 秋の追加接種に向けて、オミクロン型に特化したワクチンを準備中
    • まもなく治験を開始する予定

  ファイザーは「オミクロン型のワクチンは3月に準備ができる」とトップのブーラ CEO が発言し、生産に乗り出していることも認めています。

  つまり、『(中国・武漢で発見された)初期株を基に製造された新型コロナワクチン』を大急ぎで接種するメリットがある人は極めて限定的なのです。また、オミクロン株の感染傾向を考えると、大規模接種をする意味も疑われることになるでしょう。


オミクロン株は「感染拡大から1ヶ月弱で収束に転じる傾向」がある

  『既存ワクチン』を用いたブースター接種に疑問符が付く理由は「オミクロン株による感染拡大が続く期間」です。オミクロン株では感染拡大から1ヶ月弱で収束へと転じているからです。

  その傾向は南アフリカの最大都市ヨハネスブルグや首都プレトリアのあるハウテン州(Gauteng)、イギリスのロンドン、リバプールやマンチェスターのある北西部で確認されています。

  南アフリカのワクチン接種率は国民全体の 30% にも満たない水準なのですが、ブースター接種をせずとも感染は収束しました。1週間以内に対象者へのブースター接種を完了できないなら、「何もしない」も選択肢になるのです。


『ワクチン接種行為』を最重要評価指標とし、モデルナ製ワクチンも活用した3回目接種に乗り出す岸田首相

  他国の当局が「オミクロン株の感染拡大は1ヶ月弱で収束へと転じる」との新規陽性者数の推移を発表する中で、日本の岸田政権は「3回目接種の前倒しを3月から乗り出す」読売新聞が報じています。

  3回目接種について、追加購入で合意した米モデルナ製ワクチン1800万人分を活用し、「3月以降、一般分も前倒しする」と明言した。具体的な対象や前倒し期間などは今後詰める。
(中略)
  自衛隊による大規模会場を再び開設する方針も示した。余剰分の900万回分も活用し、さらなる前倒しを目指すとした。

  すぐに3回目接種をしたい高齢者以外は「接種を待つべき」でしょう。『ファイザー製のオミクロン株対応ワクチン』は3月以降に流通すると予想されるため、3月までに『(型落ちの)既存ワクチン』を慌てて接種するメリットを見出すことは困難だからです。

  また、政府が3月以降のブースター接種で用いる予定なのは『既存株用のモデルナ製ワクチン』です。

  モデルナ製のオミクロン株対応ワクチンが流通するのは「(早くて)今秋」ですし、若い男性は接種時に無視できないレベルでの心筋炎が副作用として生じます。そのため、モデルナ製ワクチンを用いた追加接種を国民全体に促すメリットはありません。



  ファイザー製であれ、モデルナ製であれ、『既存ワクチン』ではオミクロン株への接種効果は大きく薄れているのです。また、オミクロン株の毒性は大きく弱まっており、無症状者や軽症者がほとんどです。

  政府がワクチン接種を促したいのであれば『接種時の副反応である「38度超の高熱」や「強い全身の倦怠感」が発生する割合』と『オミクロン株罹患時に生じる諸症状の発生頻度』のデータを公表した上で判断を当人に委ねるべきではないでしょうか。