「コロナ重症者が全国で100人超」とマスコミ各社が煽るも、大阪・沖縄・京都の2府1県で8割を占める事実はスルー
「全国の新型コロナ重症者数が2ヶ月ぶりに100人を超えた」とテレビ朝日などマスコミ各社が報じています。数値は正しいのですが、内訳を確認せずに煽り報道を行なっていることは問題でしょう。
なぜなら、大阪・沖縄・京都の2府1県での重症者数が79名と全体の約 80% を占めているからです。しかも、これは『国の基準』に基づく数値であり、『各都道府県の基準』での重症者数は4名だからです。
『国の基準』による重症者数
テレビ朝日などが報じた重症者数は厚労省が管理するウェブサイトから確認が可能です。CSVファイルをダウンロードすれば、任意の日付における各都道府県の重症者数も確認できます。
『国の基準』では入院中の重症者は100人に到達しています。しかし、大阪(47名)・京都(9名)・沖縄(23名)の2府1県で「全国の重症者の 80% を占めている」との報告に疑問を持てるかが重要と言えるでしょう。
なぜなら、“沖縄などと同様にオミクロン株の感染拡大が起きている地域” から報告された重症者の合計値が「残りの 20% に収まる」という奇妙なことが起きていることになるからです。
『各都道府県の基準』では大阪・京都・沖縄の2府1県での重症者数は4名
この “カラクリ” は『各都道府県の基準』が『国の基準』と異なっていることです。
沖縄県での重症者数は0名
沖縄県が発表した2022年1月10日分の療養状況(PDF)を確認しますと、『県の基準』での重症者数は「0名」と報告されています。
『国の基準』は「集中治療室に入れば重症者」としてカウントされるため、“医学的に ICU への入院が不要な患者” であっても「念のために集中治療室に入れる」ことで重症者となります。
新型コロナの治療費は「全額公費負担」ですから、請求書は「納税者と社会保険料の払い手」に回されます。患者に直接的な金銭負担はなく、医療従事者は重症者への処置の方が多額の補助金を得られる状況であることに留意が必要です。
大阪府での入院中の重症者数は2名
『国の基準』では47名の重症者がいる大阪府ですが、『府の基準』での重症者数は2名です。これは1月10日発表分(PDF)から確認が可能です。
11日発表分では新たに3名が重症となりましたが、年明け以降にオミクロン株で重症化した人の属性を確認しておく価値はあるでしょう。
大阪府で新規重症者として報告されたのは「70歳以上かつ基礎疾患持ち」の4名です。若者を脅す暇があるのなら、実際に重症化が報告されている高齢者に警戒を促すべきでしょう。
ちなみに『京都府の基準』での重症者数は「2名」でした。
大阪府では年末年始にかけて一部の医療従事者らが高齢者施設を訪問してブースター接種を行なったと誇らしげに報告しています。
年末年始、精鋭48人で20施設約700名の方にワクチン接種を完了しました。12/22に大阪府内でオミクロン市中感染が出た日に報ステで「高齢者に早くブースター接種を!」とコメントしたのですが「偉そうに言う前におまえがやらんかい!」と自問自答し、自分にできることをせねばとここまでこぎつけました。 pic.twitter.com/C7NFOjXm0f
— 忽那賢志 (@kutsunasatoshi) 2022年1月3日
それによる効果がどのぐらいあったのかを公表することも専門家の責務と言えるでしょう。「コロナ対策」の名目で膨大な補助金を受け取っているのですから、費用対効果を明らかにしなければならないのではないでしょうか。