山際大志郎・経済再生相、「2回と3回ではクオリティーが違う」とワクチンパスポートの要件変更を示唆

 山際大志郎・経済再生担当大臣が12月28日に行った記者会見で「3回目接種をワクチン・パスポートの条件」とする考えを示したとテレビ朝日などが報じています。

 「2回接種と3回接種ではクオリティーが違う」と主張する分科会のメンバーに “忖度” した方針ですが、それを示した研究結果を示していない問題があります。また、新型コロナの変異でワクチン接種効果は薄れ、毒性そのものが低下している状況でもあるのです。

 経済再生担当大臣が2代続けて『経済破壊担当大臣』であるのは悲惨と言わざるを得ないでしょう。

 

2021年12月:山際大志郎大臣「2回と3回ではクオリティーが違う」

 2021年12月末には山際・経済再生担当大臣が記者会見で「2回接種と3回接種ではクオリティーが変わる」と言及したとテレビ朝日が報じています。

記者会見を行う山際・経済再生担当大臣

 この主張は裏付けられていないことを指摘しなければなりません。

  1. 2022年1月1日にファイザー製ワクチンの2回目接種を終えた人
  2. 2022年1月1日にファイザー製ワクチンの3回目接種を終えた人

 『条件Aに該当する人』と『条件Bに該当する人』で「接種効果の差がどれだけあったか」を示した研究報告がないからです。『半年以上の前に2回目接種をした人』と『半月以内に3回目接種を終えた人』を比較するのはナンセンスです。

 それに新型コロナは変異し続けますし、変異が起きるごとに弱毒化している様子が(ワクチン接種率の低い国から報告される)統計データでも示されています。

 ワクチン接種が鍵ならば、ワクチン接種率の低い途上国では先進国を上回る『新型コロナによる人口あたりの死者数』を計上しているはずです。実際はそうではないのですから、「ワクチン接種」を目的とした呼びかけは悪質と指摘されるべきでしょう。

 

ワクチンパスポートに対する過去の主要発言

2021年11月:分科会「接種証明書は有効期限を設けるものではない」

 2021年11月16日に行われた第11回・新型コロナウイルス感染症対策分科会で『ワクチンパスポート』の「接種証明書は有効期限を設けるものではない」との方針(PDF)が示されています。

ワクパスへの見解(2021年11月時点)

 この方針は支離滅裂と言わざるを得ないでしょう。

 まず、新型コロナワクチンの接種率と新規陽性反応者数に相関はありません。これは2021年夏にイスラエルで感染拡大が起きたケースなど事例は事欠かないからです。

 政府は「ブースター接種」も視野に入れていますが、これは「ワクチン接種効果に薄れているから3回目以降の接種で効果を補うこと」が目的です。にも関わらず、接種証明書の有効期限が設けられていないことは矛盾に該当します。

 『接種効果を裏付ける証明書』として運用する考えなら、自動車の運転免許などと同様に有効期限を設けるべきです。『接種行為を裏付ける証明書』として用いるのなら、無意味な証明書であるため導入そのものを撤回すべきでしょう。

 

2021年9月:政府分科会「接種証明書の実証実験を行っていく」

 田村厚労相が「接種証明として使う考えはない」と明言した半年後に政府分科会で尾身茂会長(や西村康稔氏)が「接種証明書の実証実験を行っていく」と真逆の立場を採りました。

 2021年9月9日に行われた第16回・基本的対処方針分科会の議事録(PDF)から確認が可能です。

尾身氏の発言(2021年9月時点)
  • 西村大臣:『ワクチン検査パッケージ』を用いて一定の緩和をする考えはない
    • 緊急事態宣言を9月末まで継続することは分科会が了承済
  • 『ワクチン検査パッケージ』の技術実証を行う
  • 今後、国民的な議論も経て、そういうことを考えていく
  • 11月頃に備えて対応を考えていきたい

 分科会に参加する “医療業界人” が「満額回答」と評する対策が政府から提示されました。

 対策の内容は「ワクチンパスポートの導入」ですが、『ワクチンパスポート』だと「自由に制約を加える」との批判を浴びることが自明であるため『ワクチン検査パッケージ』との “看板” を掲げて誤魔化そうとしている状況です。

 また、分科会のメンバーが複数の提言案を示し、その中から国民の代表である国会議員が議会で選択することが『正しいプロセス』でしょう。これを逸脱した状態が続いていることは問題視されなければならないはずです。

 

2021年3月:田村厚労相「国内で接種証明書を使うことは考えていない」

 2021年3月9日に田村厚労相(当時)が「接種証明として使う考えはない」と明言しています。(厚労省による概要

田村厚労相による質疑応答(2021年3月時点)
  • 『接種証明』の意味で使うことは考えていない
  • 未接種者が不利益な取り扱いを受けることは避けなければならない
  • 接種するかは本人の判断
  • 判断によって不利益が起きないよう政府として対応して行かなければならない

 田村厚労相の方針は『自由を重んじる国』として適切なものでしょう。「この方針を政策として実現することができるのか」が評価ポイントになることは言うまでもありません。