【人口動態統計速報】 2021年10月の出生数は先月並みで、死者数は『推計死亡数・中位』に戻る

  厚生労働省が人口動態統計速報の2021年10月分を発表していましたので内容を紹介いたします。

  2021年10月の出生数は速報値で7万3129人。前年同月と比較すると「-2.3%」でした。10月までの累計出生数は前年よりも「-4.1%」と悪化したままであり、2022年の年間出生数は「80万人割れ」が現実味を帯びたと言えるでしょう。

  一方で死者数は12万0781人でした。死者数は「昨年よりも多い」との指摘がありますが、2020年の死者数は「予想値よりも3万人ほど少なかった」という事実があります。今年は予想値と同数ですから騒ぐことはナンセンスです。


人口動態統計速報(2021年10月分)

  前年同月と比較した人口動態統計(速報)は下図のとおりです。

f:id:sqboe:20211221170147j:plain:w600

  出生数のマイナスが将来推計よりも進行してしまったことが懸念点です。マスコミが取り上げる死亡数は許容範囲ですから、将来を見据えた考え方ができているかが問われることになるでしょう。


出生数(2021年10月・人口動態統計速報)

  速報値で10月までの累計出生数が70万人を超えていることから、出生数は「確定値でも80万人台をキープできそう」だと明らかになりました。

  ただ、出生数が上向く要因が見当たらないことを考えると「2022年の出生数は80万人割れ」となる可能性が高くなっています。

  将来推計人口では『出生数(中位)』で推移した場合に出生数が80万人を下回るのは「2033年」でした。それが2022年に起きる状況なのですから、「コロナ対策で少子化問題が10年前倒しになった」と言わざるを得ません

  「子ども庁」か「子ども家庭庁」かの名称で揉めている時点で現実の問題から目を背ける茶番劇と見なされることでしょう。


死者数(2021年10月・人口動態統計速報)

  2021年10月の死者数は「死者の推計・中位に近い値」となりました。8月と9月は「推計・高位で超過死亡が発生していた状況」でしたから、平年どおりの数値が記録されたと言えるでしょう。

  なお、1月から10月までの累計死者数を推計値と比較したものが以下です。

  将来推計人口で言及されていた『死者数(中位)』で2021年1月から10月の累計値は「118万2000人」。1月から7月の概数値と8月から10月までの速報値を合わせた値は「118万6000人」です。

  冬季を迎える11月と12月は「2ヶ月で16万人前後が死亡する見通し」ですから、結果として年間での予想死者数に落ち着くことでしょう。

  騒ぎ立てる要素にはなりませんが、期間など特定の条件で切り取ることで煽ることはできます。「分析者としての能力が備わっているか」や「一線を越えていないか」が浮き彫りとなるでしょう。