菅前首相が悔やむ分科会は「参加人数」だけでなく「能力不足」も深刻な問題と言わざるを得ない

 菅義偉・前首相が TBS の取材に「政府分科会のメンバーが多すぎた」などの問題を指摘し、検証の必要性を訴えています。政府が行った新型コロナ対策は「費用対効果の検証」が不可欠であることは明らかです。

 また、政府に対策を提言した分科会の参加メンバーの資質も俎上に乗るべきだと言えるでしょう。

 

分科会のメンバーは大部分が「厚労省アドバイザリーボード」も兼任

 菅前首相が「メンバーが多すぎた」と反省を口にするのは理解できます。なぜなら、分科会の参加者(PDF)の大半が厚労省アドバイザリーボードにも名を連ねている(PDF)からです。

表:分科会のメンバーによるアドバイザリーボードの兼任状況
AB 肩書き
尾身 茂
(分科会長)
独立行政法人・地域医療機能推進機構(JCHO)理事長
脇田 隆字
(分科会長代理)
国立感染症研究所所長。アドバイザリーボード座長
石川 晴巳 ヘルスケアコミュニケーションプランナー
石田 昭浩 連合・副事務局長
今村 顕史 東京都立駒込病院感染症センター長
大竹 文雄 大阪大学大学院経済学研究科教授
岡部 信彦 川崎市健康安全研究所長
押谷 仁 東北大学大学院・微生物学分野教授
釜萢 敏 日本医師会常任理事
幸本 智彦 東京商工会議所議員
小林 慶一郎 東京財団政策研究所研究主幹
舘田 一博 東邦大学微生物・感染症学講座教授
中山 ひとみ 霞が関総合法律事務所弁護士
平井 伸治 鳥取県知事
南 砂 読売新聞東京本社常務取締役
武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授

 分科会の尾身茂会長は厚労省アドバイザリーボードの一員です。また、アドバイザリーボードで座長を務める脇田隆字氏は政府分科会の会長代理です。

 このような人選なのですから、政府に提案される『新型コロナ対策』は「医療業界の要求事項が色濃く示された内容」になるのは必然です。

 しかも、政府分科会には “一般的な納税者の代表” はいません。「対策費は現役世代や(国債発行の形で)将来世代に負担させよう」と利害が一致する状況であるため、コロナ対策禍が深刻になったと言わざるを得ないでしょう。

 

2020年春の第1波から『誤った対策』を提言し続け、対策効果の検証をしない無能な専門家はクビにすべき

 分科会のメンバーを「10人弱」にして国民が困ることはないでしょう。なぜなら、メンバーの大部分は無能であることが『新型コロナ対応』で白日の下にさらされたからです。

 「最大で42万人が死亡する」と西浦氏が脅し、「2020年4月中旬まで新規陽性者数が減ることはない」と主張しましたが、第1波の発症日別・新規陽性者数は安倍首相(当時)が緊急事態宣言を出す前にはピークアウトしていました。

 2021年夏の第5波では脇田氏が同じ失敗を繰り返しています。

 “感染症の専門家” が要求した『新型コロナ対策』で経済は大きな痛手を被りました。にも関わらず、自分たちが求めた対策の効果が如何程だったのかの検証をすることなく、新型コロナの脅威を煽り続けて対策費を業界が受け取れるように奔走しているです。

 『幽霊病床問題』は存在しなかったことにしようとしていますが、“タックス・イーター” が「一般的な納税者」よりも優遇される国の先行きが明るくないことだけは確かでしょう。

 

 医療業界の横暴を明らかにし、現役世代や将来世代からの搾取構造を瓦解させることが菅前首相の “宿題” なのではないでしょうか。