8月中旬に「感染者が減る要因はない」と断言した脇田隆字氏、人流5割減が未達で感染者激減の理由を「ワクチンと天候」に求める詭弁を展開

 厚労省の新型コロナ対策アドバイザリーボードで座長を務める脇田隆字氏が8月中旬に示した「感染者が減る要因はない」との主張と現実との齟齬に関する見解を問われ、「ワクチンと天候が要因」と弁明しています。

 ただ、これは詭弁です。脇田氏(や尾身氏)は「人流を5割減しなければ感染は収まらない」と主張していたからです。

 まずは間違いを素直に認め、『誤った提案』で世間に不必要な損害を与えたことを謝罪すべきでしょう。無責任な専門家の提言は無視されて当然であることを自覚しなければなりません。

 

脇田氏が9月8日のアドバイザリーボード後の記者会見で言及した内容

 9月8日に行われたアドバイザリーボード後の記者会で座長の脇田氏が語った内容は朝日新聞など各社が報道しています。

  • 低下させる要因もあり、増加要因よりも強かった
    • 増加要因:人出
    • 減少要因:ワクチン接種と天候

 7月上旬には 40% だった『高齢者のワクチン2回目接種完了率』が今では 85% 超と記事では触れられています。しかし、この要因は「後付け」です。

 なぜなら、8月初旬の時点で高齢者の 80% は2回目のワクチン接種を終えていたからです。専門家が事実に基づかない理由を列挙して誤魔化そうとしているのですから、メディアは追求する必要があるでしょう。

 

脇田氏がひた隠しにする不都合な事実

1: 8月中旬に「感染者が減る要因はない」と断言した脇田隆字氏

 まず、脇田氏は2021年8月中旬に「感染者が減る要因はない」と断言しています。

 つまり、「8月上旬までに確認可能だった要因から感染が減少する見通しは何もない」が専門家の一致した見解だったのです。これは脇田氏が会見で述べたことであり、分科会の尾身茂会長も「人流の5割減」を要求していた事実が裏付けています。

 ところが感染拡大を牽引する形になった東京都での『発症日別の新規陽性者数』は8月10日にピークアウト。「この事実を認められない専門家集団は害をもたらすだけ」と言わざるを得ないでしょう。

 

2: 8月1日の時点で高齢者の79.5% が2回目のワクチン接種を完了

 脇田氏など専門家は「高齢者へのワクチン接種が進んだので感染減少に転じる結果となった」とのシナリオを描きたいのでしょうが、これは筋悪です。

 日本政府の CIO ポータルを確認しますと、65歳以上の高齢者は8月1日時点で 79.44% が2回目接種を完了。8月15日には 84.92% に達し、9月1日には 87.47% となっています。

 CIO ポータルは公開情報ですから誰でも確認が可能です。しかし、脇田氏を始めとする専門家は「高齢者の約8割がワクチン接種を完了していても減少には転じる要因にはならない」と結論付けていたのです。

 見立てが180度変わった理由を説明できなければ、専門家への信頼が損なわれるのは当たり前です。

 

3: デルタ株による蔓延が深刻だったインドネシアでの感染が収束の理由も「ワクチン接種と天候」と言えるのか?

 日本も『デルタ株による新型コロナの感染拡大』が発生しましたが、脇田氏が弁明した収束の理由では説明のできない部分もあります。その代表例がインドネシアでしょう。

 インドネシアも『デルタ株による新型コロナの感染拡大』が深刻で、デルタ株の割合が 75% 超だったことが7月末に国立感染研が言及しています。

 インドネシアは7月下旬にピークアウトしましたが、2回目のワクチン接種を終えた人の割合が 10% を超えたのは8月中旬です。日本は7月下旬の時点で『2回目接種を終えた人の割合』は 10% を超えており、「ワクチン接種が決め手」とは言えないでしょう。

 また、天候に関しても同様です。インドネシアは7月・8月は夏ですし、夏は乾季に該当します。

 「ワクチン接種と天候」が新型コロナの感染収束の要因であるなら、インドネシアの新型コロナ感染は続いていなければなりません。しかし、日本の専門家が「収束の要因」として挙げた項目を満たしているとは考えにくい状況でインドネシアでのデルタ株による感染は収束したのです。

 「国ごとに状況が違う」と主張するなら、アメリカやイギリスなどの状況も参考例に留めなければなりません。同じと見なすのであれば「インドネシアでの感染が収束した理由」も説明できる論理的な説明が不可欠です。

 付け焼き刃でその場しのぎの言い訳ばかりしている専門家は解任した方が良いのではないでしょうか。